あのころは昼食代が70円だった

昼ごはんは大抵サンドイッチですませてしまうのですが、今日はたまたま「こしあんパン」を見つけたので買ってみました。こしあんの方が好きなんです。いや、もちろんつぶあんが嫌いというわけではありませんが。でも豆の残骸がまったくなくてさらっとしているあたりに「なんか手をかけているような雰囲気」を感じてしまうのです。ともあれあんパンを買うのはすげー久しぶりな気がしました。ひょっとしたらここ5年以上食べてなかったかもしれない。

で、さっそくあんパンを食べていると、不意にまだ高校生だった頃のことを思い出してしまいました。高校時代の3年間でとてもとてもたくさんのあんパンを食べたのです。なんだかあんパンばかり食っていたような気さえするのです。
 高校の売店は昼になると人まみれのぐっちゃぐちゃでしたが、なぜかあんパンは売れ残ることが多くてのんびり行っても買うことができました。表面が妙にテカっていて油でも塗ってるんじゃないかと疑ったりもしたものです。なにかの折に2つ食べたら案の定胸焼けをおこしてしまいましたが。

しかし、実際の話そんなにあんパンばっかり食っていたわけではありません。なにせ普段は弁当だったんですから、せいぜい月に2〜3回だったのではないでしょうか。

我が家独自の決まりとして、水曜日は弁当は作ってもらえない、というものがありました。その代わりにパン代として500円もらえたのです。
 当時の私は月5,000円の小遣いをもらっていながらとても貧乏でした。後先考えずに金を使ってしまうからです。それでどれくらい貧乏だったかというと、学校帰りにゲーセンへ行ってもゲームができないくらい貧乏だったのです。これは死活問題でしょう。ゲーセンに行って人がゲームをしているのを見るだけなんて、あまりといえばあまりな話ではないですか。バイトもしていなかったので、あとは水曜日の昼飯を切り詰めてなんとかするしかない。私はそう決意しました。そして一番安かったのが70円のあんパンでした。

それが3年間続いたのです。

そんなことがあれば、あんパンに大して非常に強い思い入れがはぐくまれたとしても不思議はないでしょう。そういうわけで久しぶりにあんパンを食べたら高校時代のやけにギラギラしたヤツのことを思い出してしまったというわけです。しかしいくら見栄えをよくするためとはいえ、あそこまでギラギラにしてしまってはかえって逆効果なんじゃないかというくらいすごかったなあ、あのあんパン。