2001-01-01から1年間の記事一覧

澄んだ音のする夜に

つくづく自分には記憶力がないのだな、と思わされることがぼくにはある。たまに、ではなくしばしば、しょっちゅう。それはそろそろ記帳しなきゃいけないはずの通帳だったり、締め切り間近のクラス会の出欠ハガキだったりとさまざまだけれども、そいつらは大…

ぼくのしあわせ

「しあわせ」とはなにか。 カギカッコつきの「しあわせ」をしかつめらしく論じてみせるのは、ある意味とてもラクなことだ。人間は幸せであるために生きているのだから、誰もが必ず一つは幸福観を持っているし、その尺度は人によって変わることを考えればよほ…

自転車賛歌

大雑把に言って北海道は広い。そして、その広い北海道ではクルマがないと暮らしていけないんだそうである。 そして私はクルマを持っていなかったりする。 となると私は暮らしていけてない、という状況に甘んじていることになってしまうのだが……。 ホントか?…

怠惰撃退法

世の中は連休で浮かれ騒ぎの巷である。札幌方面は今ひとつ天候には恵まれていないようだが、休みというのはただあるがままに休みというだけでいい。やれ旅行だやれ買い物だやれ庭の草むしりだ、などと無闇に飾り立てる必要などない。僕はただキミと一緒にい…

カルボナーラの悲劇

一人暮らしの独身男と料理、というのはボールペンと犬の首輪くらい関係のなさそうな取り合わせである。蛍光灯の白々とした灯りの下、背中を丸めてじゃあじゃあ暑苦しい音を立てるフライパンをじっと覗き込んでいる霊長類ヒト科ホモサピエンス独身オスには「…

たとえば彼が

たとえばファミレスでコーヒーでも飲みながら、彼がちらっとこんなことを口に出したとする。 「みんなが僕のことを嫌ってるんじゃないかと思うことがあるんだ。それは大げさだとしても、少なくとも好きではないってことは確かな気がする」 一体何があったの…

We Are the World

以前は布団の中に入ったあとでもラジオをつけっぱなしにしていることがよくあった。どちらかというとAMが中心でFMを聴くことはあまりなかったけれども、今の職場では昼休みによくFMが流れている。同室の人が聞きたいと思うのを咎めるほど、FMが嫌いというわ…

TV Watcher

世の中にはTVという大変便利なものがあるんだそうだ。 と、まるで他人事のような言い方をしてはいけない。いくら私が世間知らずであろうとも、TVの存在くらいは知っている。テレビジョン。そう、ヤツはテレビジョンである。テレフォンは離れたところと音声…

生命力回復計画

雪の別名が「六花」であることを知ったのはつい最近だが、いまだにこの単語を使ったことがないのがなんだか悔しい。とりたててウツくしい文章を書いているわけではないのだからそんな詩的な単語の出番がないのは当たり前だろう、と言われると返す言葉がない…

冷たい天の川

大学のグラウンドに寝転がると、視界には空ばかりである。冬の空気は糸を張ったような緊張感に澄んでいて、暗さに目が慣れてくるといつもより多くの星が見えた。それは普段から見えていたはずなのに、今まで気付かずにいた星たちだ。さほど視力のよくない自…

勘違い的北海道案内

ここ1年以上実家に帰っていない。 と口にすると、世の中にこれ以上の薄情者はいないと言わんばかりの視線がこちらに向けられることが多い。そりゃあ薄情なのには違いないが、ちょっと待った。一応こっちにだって理由らしきものの一つや二つあるんだから。大…

指から生まれた

インターネットにおいては指から生まれたような人間が時折みかけられる。普段は無口なのだが、いざPCを前にするといつ果てるともなくキーボードを叩き続けることができる人たちだ。かくいう私にも若干そのケがあって、こういう文章を書くのは実のところ痛し…