カルロス・ヌニェス「絆〜ガルシアからブルターニュへ」

聴いてみてとても気に入ってしまったので、Amazonにレビューを書いてみた。本当は手を入れようとも思ったんだが、ちょっと余裕がないのでそのまま載っけてしまう。基本的に褒めるための文章なので、そのへんは割り引いて読んでいただきたい。目指したのは「聴いてみたいなと思わせる文章」である。

過去の作品においても感じられていたことだが、カルロス・ヌニェスのアルバムには物語性というものが色濃く投影されているように思う。単なる曲の寄せ集めではなく、すべての音楽が連綿として繋がっていくということだ。本作でもそれはもちろん引き継がれている。聴いていてゆるむところがない。

そこではもちろん様々なメロディが奏でられる。軽快、牧歌的、切なさ……。けれどもその中で特に感じたのは、おおらかな伸びやかさだった。伝統的なケルト音楽を踏襲しつつも、古臭さをまるで感じさせない。さながら長い間締め切っていた部屋の窓を広く開け放ったときの爽やかな風のような印象を受けた。彼の音楽はたしかにケルティックだが、単純にトラディショナルと片付けてしまうことは相応しくない。そんなことを考えさせられる。

ちなみに過去の作品では録音がちょっと……という部分があったのだが、本作ではそれもない。興味があるのならぜひ。興味がなくても聞いてみると、ケルト音楽が好きになれるかもしれない。それだけの魅力があると思う。

褒めすぎると逆効果だと思った。