マイナスイオン

実家から変なものが送られてきました。何の前触れもなくポストの中に封筒があり、触ると何か入っているようです。はて、何か送ってくれなんていった覚えはないんだけどなぁ。学生時代にはよく金を送ってくれって言ってたもんですが。で、明けてみるとなんだか妙にぶっとい水色の輪ゴムみたいなものが。他に手紙か何かが入っているのかと思えばそれもなし。モノだけ送ってきて説明がない状態ってのはなんともいえず妙なものです。

で、この輪ゴムはどうやらマイナスイオンを発生する腕輪なんだそうです。電話して聞いてみたら「発掘あるある大事典」でとりあげられていたんだとか。なんつーメディアに踊らされやすい人であることかと思ったんですが、そんなことを口走った日には電話口で大喧嘩間違いナシです。やめときました。

しかし、最近よく耳にする言葉ではあったような気がするマイナスイオン。ちょっと気になったのでGoogleで検索してみまして、上に上げた2つのページにいきあたりました。それぞれ肯定派、否定派とでもいうんでしょうか。とりあえず両方読んでみるといいんじゃないかと思います。なんといいますか、よくあるエセ科学論争にまたひとつネタが提供されているって感じですかね。

こと健康に関する製品ってやつは、以前からインチキだのそうでないだのという論争がつきものみたいなところがあります。不健康と健康とどっちがいいかというとそりゃ健康なほうがいいに決まってまして、そこらへんをつっつくってのはやりようによっては非常にウマい商売になるんでしょう。同じような話がある分野としてはエステとか、ラクして儲かる(らしい)セカンドビジネスとかがありまして、このあたりはキャッチセールスの温床とでも言えそうです。もちろん中にはまっとうな商売をやっている方もおられるわけで、両者が混在していてぱっと見ただけでは区別がつきにくいってのが混乱の原因になるんでしょう。

で、マイナスイオンの話に戻りますが、いくつかサイトを見て回った結果はやっぱりそう簡単に肯定はできないなあという感じです。「マイナスイオンを照射したら体内の静電気が抜けた」「血液のpHがアルカリ側に変化した」というように、実験結果を示してはいるんですが、そのメカニズムについてはなんかイマイチはっきりしませんし、厳密にプラシボ効果を排除してるわけでもなさそうです。実験結果はわかったけど、それがどうして「アルカリイオンは健康にいい」っていう結論に結びついちゃうのかがさっぱりわかりません。

「発掘あるある大事典」の話を出しましたが、最近の科学的であることをウリにしているTV番組ってみんなこんな感じのような気が。因果関係と相関関係をきちんと区別してこその理論立てなんじゃないかなぁと思うんですが、そのへんどんなもんなんでしょうね。何度か見た限りではそのへんがきちんとできているようには残念ながら見えませんし、あるのは恐怖心を煽り立てるようなある種の脅し的文句と、導き出された(らしい)結論への過剰ともいえる礼賛ばかりのような気がします。今回の話で言えば、まず「マイナスイオンは健康によい」という結論ありき、みたいな雰囲気があるんじゃないかというように見えちゃうんですよね。なんか手の込んだCMを見せられているような。

ま、一言でいえば「うさんくさい」ってことでしょうか。科学的に見せて実はそうだもないってあたりがなんだかなあって感じがしますけどね。

しかし特定の病気に対するピンポイントな治療ではなく、「健康」なんていうあまりにも範囲が広すぎてそりゃいったいどこを焦点に話をしたらいいんですかみたいな話にはどうしても眉にツバをつけざるをえないんじゃないかと思うんですよ。だって本当にそれが効いたのかどうかなんてわかんないじゃないですか。実証するのもすげー大変そうだし。
 とはいうものの、やっぱり健康なほうがいいって点においては私も同感ですんで、その手の人たちにはぜひすばらしい論文でも書いて権威ある学会誌にでも投稿していただきたいと思います。それまではとりあえず様子見って感じかなー。

といいつつも左手首に輪ゴムをはめてる私って、実はものすごいヘタレですか?