タブブラウザとMDI/SDI

ノートPCを主に使うようになり、狭い画面を有効に使いたいということでタブブラウザを使うようになりました。最初はSleipnirだったんですが、つい先日からはDonut Pを使用させていただいてます。なんで乗り換えたのかというと、ブックマークがInternet Explorerの『お気に入り』と共通だったから。

調べ物をするときのように山ほどブラウザを開くのでなければ、いまだにIEがメインです。ブックマークは『お気に入り』と共通にしたいと思ったのもそのせい。やはり視認性のよさから言えば複数のブラウザを立ち上げておいたほうがよいと思ってるんですよねー。ただしそれはブラウザの数が2つ3つですむ間まで。それ以上だと1024x768の画面ではとっちらかりすぎてしまいます。XPでタスクバーのグループ化ができるようになったとは言え、その際の操作性はタブブラウザの方が上。なにせマウスの移動距離が少なくてすむ。

最近ではMozilla(→Netscape)やOperaにもタブ機能が搭載されていることもありまして、タブ化ってのもかなりメジャーになりつつあります。IEもそのうち追随してくるでしょうし、そうなるとタブブラウザはいよいよ「当たり前」になることになる。

タブ化って機能は、実のところExcelのワークシートと同じです。Excelの昔のバージョンを見たことがないのでなんともいえないんですが、他に同じ機能を搭載したアプリケーションを見たこともないのでもしかするとこれはExcelの専売特許だったのかもしれない。ただ、Excelのタブ(ワークシート)はあくまでもひとつのブックの構成要素にすぎませんが、タブブラウザは完全にMDI(Multi Document Interface)と融合してしまってます。むしろMDIの進化系というほうが近い気もする。

MDIとSDI(Single Document Interface)についても話し出すとキリがないんですが、MDIはWindowsMacintoshとの差別化を図るために打ち出したインターフェイスだったかと思います。ただ、アプリケーションの枠にとらわれるということでいたく評判が悪く、GUIの先輩格(ってのもヘンな言い方だけど)であるMacintoshユーザーにはボコボコに言われたらしい。まあMacintoshユーザーがWindowsをけなすのは今に始まったことじゃないんですが、それにしてもWindowsほど他のOSのユーザーに叩かれまくるOSってのも他にはないですね。

今となってはWindowsしか使ったことがないユーザーのほうが多かったりして、MDIは使いにくいってのが話題になることはそれほどありません。が、それでもやっぱりMDIは使いにくいって人は少なくない。なんだか檻の中に閉じ込められたような閉塞感がいけないってんで私もあんまり好きじゃないし。MicrosoftもOffice2000でSDIへの転換を図ってるんですが、これがまたMDIとSDIとの中途半端な折衷案みたいで今ひとつ使い勝手がよくない。ただ、Microsoft自身もSDIへの移行を推奨してはいるようですが。

とは言うものの、ノートPC、特にモバイル向けのB5サイズ以下の場合にはデスクトップが狭いですから、そういう場合にはMDIも悪くないかと思うんですよね。世の中のPCがなべて大画面で使えるようになるかといえばそれはないだろうし、だとするとMDIを完全に捨ててしまう必要もないのかもしれません。そこにタブ化という新しいアプローチが出てきたってのは面白いんじゃないかと思いました。いろんなアプリケーションがタブでの切り替えをサポートしたら、それはそれでひとつのカタチなのかもしれません。

でもやっぱりなんか違うよなーって気がするのは、タブ化してしまうと複数文書間でのやりとりが非常にやりにくくなっちまうことです。少なくともドラッグ&ドロップはできないし、あっちの文書をみながらこっちの文書を編集するってのもちょっと難しい。とするとやっぱりSDIか!Macintoshバンザイか!って話になるんですが、そうなると今度は画面の広さという制約があったりしてかなりのジレンマを感じてしまいます。

で、これは面白いと思ったのは『窓立て』というツール。今でもウインドウ同士の重ねあわせでZ軸方向の考え方ってのは必要なわけですが、それをもっと推し進めるとこうなるというひとつの例だと思います。ウインドウを傾けて置くことができれば、限られたスペースをもうちょっと有効に使えるだろうということですね。OS標準の機能ってわけではないので、傾けたままアプリケーションの操作をすることとかはできないなどの制約は当然あるんですが、タブ化がMDIの進化系とすると、こっちはSDIの進化系という感じがします。

最近3D方面の進化ってのはものすごいものがあるので、『窓立て』のほうがより時流に乗っているとはいえるかもしれません。リソースは食うでしょうが、それも進化する上では当然という気もする。もちろん実装という面ではまだまだこれからだし、その点ではタブ化というひとつの形を提示したMDIが半歩進んだかなって印象はありますけどね。

ただ、MDIにせよSDIにせよどっちがベストなインターフェイスってことはないわけです。そもそも平面のディスプレイって存在だっていつまで続くのかは誰にもわかんないわけだし、GUIそのものにしたってそれは同じ。もっと使いやすく、かつわかりやすいインターフェイスってどんなのかなーと考えてみるのも面白いんじゃないかと思いますよ。