暖冬ヨタ話

この週末はすっかり空気の角が取れて柔らかくなり、春の陽気でした。今日もまた暖かいのでさすがは三月といいますか、やはり暖冬なのだなあというように思われます。もっともさすがにこのまま春になってしまうというわけでもないようで、週間天気予報など見てみるともう幾度かは寒い日もあるようです。けれども結局この冬は雪を眺めることなく過ぎゆくことになりそうな気配が濃厚。
思えばそんな冬は生まれて初めてです。
東京では二度目の冬ということで、めったに氷点下にすらなることのない気候にすっかり慣れてしまっているのですが、あらためて考えてみればやはり不思議なことだと思います。なんせ思考の基準はいまだにもって北海道に取り残されており、そこからしてみれば三月がこんなに暖かいわけはなく、ましてや雪のない冬など冬ではないということになる。してみればここ数日の陽気は晩秋における小春日和のようなものであり、これからは寒くなる一方の日々なのであろうという予測がなされます。すると六月くらいに寒さのピークが来るのではないか。今年の梅雨はものすごい積雪になることが予想されます。気を付けよう。



さてその段でいけば三月末から四月上旬に桜が咲くというのも嘘くさい話です。桜とは札幌でもせいぜいGW前後に咲くものであり、私が生まれ育った地域においては五月も半ばの声を聞かなければ蕾も堅いままと相場が決まっている。テレビやらなにやらで卒業式だか入学式だかに桜が咲くというイメージが散々吹聴されているのを見聞きした幼少の頃の私は、そんな馬鹿なと思ったものです。その時期に降るのは雪というのが常識で、そりゃ桜吹雪と字面は合うだろうが、そんな時期に桜が咲くだなんていくらなんでも無体にすぎる。
そんな私も今ではまったく東京の人は常識がないとせせら笑うまでに成長し、年度の変わり目に咲く誇る桜を見てもまったく東京の桜は常識がないと軽蔑をするに至りました。まあヤツらは埋まった死体の透明な脳漿をその根っこからするすると吸い上げているというんだから、少々常軌を逸した開花をしたとしてもおかしくはありますまい。その一方で西洋画集コーナーで檸檬が破裂の時を今や遅しと待っている間に丸善書店は閉店してしまう。そしてそんなことばかり言っている人は遠からず結核で死にます。

というか暖冬になると暖房をする必要もそれほどはなくなるのであって、そういうことであれば排出されるCO2も削減されることとなります。そして言わずもがなのことですが、CO2が削減されると地球の温暖化は抑制されることになる。
以上の理屈を紡ぎ合わせると、地球温暖化によってもたらされる暖冬は地球温暖化に歯止めをかけているということになります。すなわち地球の温暖化を抑制するためには、翻って地球を温暖化させてやるのがよろしい。どうです。今まで誰もこんなこと言う人はいなかったでしょう。これぞ世間の皆さんがひっくり返るトンデモない理論略してトンデモ理論です。
まあこれは屁理屈もいいところですが、どうせ世の中は都合のいいようにデータを改ざんしたり証拠を捏造したりという話が跋扈しているのですからこれくらいはかわいいものでしょう。なんでってそりゃすぐに嘘とわかるからです。というわけで是非みんなで地球温暖化を礼賛しようじゃありませんか。暖冬万歳暖冬万歳。冬が暖かくてなにが悪い。
何で普通に地球規模の視野で見たフィードバックとか言わないのかね。まあいいさ、春は来たとてまたじきに冬になるよ。