お国の金銭感覚

防衛省の衛星打ち上げに関する話題です。なかなか公開されない情報と、98〜06年度の間に投じられた5050億円という費用に対して、やや厳しめの論調となっているように読めました。やっぱり情報は公開すべきかねー、いやいや国防に関する話ですから……という感想を抱くのがスジってもんでしょうか。
しかし個人的にはまったく別の疑問を抱いてしまうわけです。すなわち「5050億円は高いか否か」。いやまあ、そんな金額を稼げる見込みがあるわけでもない私にとっては、それはそれは莫大な額であるには違いありません。仮にそんな額の借金を背負わされた日には、おそらく華厳の滝に向かってダイブです。だからこそ記事中にも「現状では5050億円の価値はなく」なんて意見が紹介されていたりするんでしょう。しかしですね、その価値があるかないかをどう判断したらいいものなんでしょうかしらん。
というのも、国家予算の中での5050億円というとちょっと考え方を変えた方がいいんじゃないかという気がするからなのです。国家予算の規模といえば、それこそ莫大を通り越して想像すらできない域に達しているはず。そんなでっかい財布を持っている人にしてみれば、5050億円だって実ははした金にすぎないかもしれないのではないか、という疑問が湧いてくるのです。もちろんそういう捉え方をするのに色々問題があるのは承知の上ですが、金銭感覚としてどうなるんでしょうかねえというのはなんとなく気になるところ。
で、財務省のWebサイトでおおざっぱに調べてみると平成18(2006)年度の概算要求額は85,266,543百万円です。なんかピンときませんな。えーといちじゅうひゃくせんまん……85兆2665億円ですか。ふーむ。
やっぱりピンと来ないのであります。ダメじゃん。
まあ大きすぎる数字は時として人間の思考を停止させるものであることだなあ、とテキトーかましたところでざっくり計算するわけです。この馬鹿でっかい額の中で5050億円がどれだけの割合を占めるのか、というと約0.6%。ふむ。これを仮に年収400万円の人だとどんなもんかと仮定すると24,000円。えーと、Wiiを買うのと同じような感覚です。新しいおもちゃとしてはちょっと高いか。いやちょっと待て国防用の衛生をおもちゃとはどういう了見だこの野郎。
まあすげー単純な計算っつーか、実際には単年度じゃなくて98〜06年の間に費やされた額が5050億円ってんだからもうちょっと考えてやれよという話ではあります。大体なんで防衛省(庁)予算じゃなくて国家予算で計算するんだ恣意的じゃねえか過小評価だばーかばーか、というご意見もありましょう。でもなんかもうやる気がなくなっちゃったなあ。単純に9で割っても2,700円弱なんだもの。それこそ全然大した額じゃないじゃないか。2,700円でなにが買えますかねえ。とりあえず飲み会1回にしても心許ない数字ではあるような気がする。
とはいえ国にとってどれだけはした金であろうとも、個人には華厳の滝な額であることに変わりはないわけでして、細かいこと言わずにパーっと使っちゃえよいえーいって話をしたわけじゃないってのはくどくどとしといた方がいいかもしれません。じゃあなんなんだっていうと興味本位なんですけどね。どっちにしてもあんまり胸張って言える話じゃないですな。
つか『米国は商業衛星ですら物体の識別能力は60センチ。情報収集衛星は政府見解により物体の識別能力を民間レベルの1メートルに制限されているが、実際はこれより悪く公開しにくいのではないかという声さえある。』なんだそうで。だとするとアレですかね、24,000円出してファミコンを買う気はありますか?って話なんでしょうかね。
それなら買わないよなあやっぱり。うん。