業界バッシングへの対抗手段

押収品には、猟奇的殺人事件を扱った「ひぐらしのなく頃に」や、死に神と手を組んだ青年が殺人を繰り返す「DEATH NOTE」のマンガ本などがあり、県警は犯行動機につながるものがないか解明を進める。

ほかにゲームの話もあったような。
こういう話が出ると、ネット上では「ゲームや漫画のせいにするなー!」という反応が当然あるわけです。でも、その声がマスコミに届いているとは言えないですね。同じような報道はやはり繰り返されるわけだし。
なんでか。
消費者の中には、やっぱりゲームや漫画のせいだと思っている人もいる、ってのも理由のひとつなんでしょうね。ひとくちに消費者といったところで、その意見は全然一枚岩なんかじゃないわけです。そういう言い分ってのはまず通らない、というか伝わらない。「そういう意見もあるんですね。でもこういう方もいらっしゃるんですよ。ま、真摯に受け止めときます」ってーのが関の山。
でも、その他にももっとわかりやすい理由があると思うんですよ。それはゲームや漫画業界の押しの弱さ。さらに言えば、報道に対して抗議の声を上げる業界団体の不在です。
こういう事件の場合、ゲームや漫画という大括りな捉え方をされることが普通です。で、特定の会社がターゲットにされているわけではないですから、たとえ業界を代表するような企業であったとしても、反論のコメントをするにはいささか筋違いな感がある。
そんな時には、業界団体がきちんとした形で「厳密な鑑定に基づく判定がなされたなどの根拠に基づかず、さもゲーム(や漫画)に問題があるような誤解を与えかねない報道がなされることは、当業界としてまことに遺憾である」というような声明を出すべきなんですよね。業界としてモノを言われたからには、業界として返すのがスジってことです。正式な形で業界としての意向を表明するってのは、業界団体の持つ重要な役割のひとつなんですな。
その意向が通るかどうかってのはそっから先の話になりますけど、それにしたところで声を上げなきゃどうにもならないってのは間違いないでしょう。ゲームや漫画といったエンターテインメント業界は今後もスケープゴートとして扱われ続けることになる。それを潔しとしないのであればきちんと意見を述べるべきだし、それにはやっぱりそれなりのやり方があるというわけです。
なんつーかですね、叩かれやすいところが叩かれるってのはあると思うんですよ。で、ゲームや漫画の業界ってのはまさしく叩かれやすい業界なわけです。なにをされても声も上げるわけでなく、ただ黙って耐えている。ああ、こいつはまだ大丈夫なんだな、じゃあもっとやっちゃおうか。子供の世界におけるイジメに通じるところがあってすげーアレな感じがしますけどね。
ただ、こうなっちゃうと、いわれのない偏見を受けたりして、ゲームや漫画が好きな消費者もワリを食ったりするんですよね。それがイヤだからネットであれだけ話題になったりするんでしょうけど、それが功を奏していないのは残念ながら認めざるを得ないところでしょうし、なんつーか、もったいないなあという気がします。
であれば、理解のない報道を繰り返すマスコミに直接抗議をするだけでなく、本来その役割を果たすべき業界を焚きつけるってのも、ひとつの有効な手段なんじゃね?とか思うのです。業界はお客さんがいわれのない偏見を受けることを黙って見てるつもりなんですか?それは長い目でみて決してプラスにはならないと思いますけど?なんてーのもまあアリだろうな、と。
業界団体ってのは本来そんなふうにして特定の企業だけに限定されない、業界の利益を守るために存在するものなんですね。単なる天下りの受け皿のひとつってだけじゃないんだよーってことなんですよ。いやこんなの当たり前の話なんだけどさ。