冬の自転車

BUSIN」というゲームを買った帰り道で、自転車を押すおばあさんを見かけました。冬になると雪が降って道路はツルツルになります。にもかかわらず自転車をつかうことをやめない人がいるんですね。しかもなぜか車道を走る。見ているほうがはらはらさせられます。なんであんな危ないことするのかなー、とずっと思っておりました。

で、ふと思いついたのは、自転車は荷台の代わりなんだろうなあということです。年を取ると当然足腰は弱くなってきますから、重たい荷物を運ぶのは難儀なことに違いありません。歩くよりは自転車に乗るほうがラクということもあるでしょうし。
 当たり前のことですが、自転車にはタイヤがついてますから、動かすのはラクです。で、いったん動き出してしまえば慣性が働きますし、その上地面との摩擦も少ないですからその速度を維持するのもラクです。危ないよりもなによりも、そうしないとスーパーに買い物にもいけないんじゃというのが理由なのかもしれません。

そういえば慣性ってのもあったなあとそこで思ったわけです。とまっているものを動かすよりも、動いているものを動かすほうが力は少なくてすむ。そんな当たり前のことを高校の物理で習ったときに、「おー、そういうことだったのかー」と感じたことを覚えています。味も素っ気もないような理論で、ふだんごくごく当たり前に感じていることを説明することの楽しさに気がついたのは、実はそれが最初だったのかもしれません。

身の回りに一人や二人くらいはいつもマメに動いている人がいるものですが、唐突にそんな人のことを考えました。そういえばあれも慣性の法則なのかなあ、ということですね。
 私なんかはものぐさですから、なにもなければ本当になにもしません。けれどもよくよく考えてみると、そののんべんだらりな状態からいざなにかをしようとすると果てしなく面倒に感じてしまうものです。でもマメな人はずーっとなにかしている。いやーすごいエネルギーだなあ、とても真似できないや。ごろごろ。なんて思ってたんですが、よく考えると私のような生活の方がよっぽどエネルギーを使っているのかもしれない。というよりは無駄遣いなんですが、マメに動いている人にはそれこそ慣性が働きますから、実は思ったほどエネルギーを使っているわけではないんじゃなかろうか。などと思ったわけです。そしてマメな人というのは、ずっと動き回っていたほうがエネルギーを浪費せずにすむということを知っているのではないか。

そうすると、マメに見える人のほうが実はエネルギーの節約、いいかえれば出し惜しみをしているなんてこともあるのかもしれません。動き続けていれば静止状態から動き出すために必要なエネルギーをふりしぼる必要がなくなりますからね。それならマメな人ってのも案外めんどくさがりなのではないかなぁ。いや、きっとそうに違いない。そうだとも結局みんなものぐさなんだ!
 なんてことを考えていたらなんだか世界中の人が「めんどくさーい。ごろごろ」なんてやってる風景が頭に浮かんできて、ものぐさの代名詞をもって自任している私としてはすこし楽しい気持ちになってしまったわけです。んー、われながらすごい屁理屈。

その時はもう、おばあさんはどこかに行ってしまっていましたけどね。