組成式の読み方半導体編

青色LEDの材料にはInGaNが使われる、という話を先日しましたが、実は書いたときにはなんて読んだらよいのかさっぱりわかりませんでした。にもかかわらずエラそうなことを書くんだから困ったものです。

それにしても組成式というのは複雑な化合物になればなるほどどう読むんだらよいのかさっぱりわからない。AlGaInPってどう読むんですか。いまだにもってお手上げです。まあ『ジヒドロジェン モノキサイド』と違ってすべての元素がひとつずつしかないあたりはちょっと親切設計な感じもしますけどね。やっぱり今の流行はユーザビリティですよ。

ちなみにInGaNは『窒化インジウムガリウム』と読むのだそうです。酸素なら酸化、炭素なら炭化というように、漢字の元素の場合は『〜化』として先頭に持ってくるのが原則みたいですね。でも水素は『水化』とはならないような。たいていの場合はOHと水酸基に姿を変えて『水酸化なんちゃら』になることが多いようですが、さて。
 で、この窒化インジウムガリウム、何度か声に出して読んでみるとわかりますが『うむうむ』と韻を踏んでおります。なんかもったいぶったおっさんみたいですが、しかし3-5-4では俳句になりません。漢字じゃないから漢詩にもなれません。せいぜいフェルマーの最終定理に出てくる数字の組み合わせになるくらいでしょう。それならInGaNをそのまま「いんがん」とでも読んだほうが覚えやすくていいのに。いんがん。ちょっとヒワイだと思ってしまいました。なぜでしょう。

ところでSiとならぶ半導体材料との呼び声も高いGaAsは『ガリウムヒ素』と読みます。ところが半導体の勉強をちょっとしてみると、そんな読み方を誰もしないことに気づいてしまう。『ガリヒ素』とみんな読んでるんですね。ヒ素ガリガリかんでいるかのようで、とてものこといい読み方とは言えません。そんなことをするくらいならヒ素カレーを食ったほうがマシかもしれない。
 日本人はすぐに略語を作ってしまって困ったもんですが、『ぎゃーす』と読んでみたらそれはそれで面白いかもしれません。明日からGaAsのことは『ぎゃーす』ということにしませんか。いやですか。それともそもそも日常会話にGaAsなんか登場しませんか。

ごもっともなことだと思います。

ところで、AlGaInPは普通っぽく『アルミニウムガリウムインジウムリン』と読んだら実は正解なのではないかと思いました。実に17文字すべてカタカナ。しかも『ウムウムウムリン』ってあたりがなんとなくリズミカルでよいです。

しかしこれではただ元素の名前を並べただけではないですか。なんかもうちょっとインテリジェンスな世界が広がっているのではないかと思ったのですが、どうやらそれほどでもないみたいです。でも一生懸命インテリジェントな名前を考えてもかえってわかりにくくなるだけだろうしなあ。なににつけても命名というのは難しいものです。

ぎゃーす。