反SPAM日本版

先日アメリカにおける「反SPAM」の動きについてご紹介しましたが、日本でもそれと同じような動きが出てきたというニュースです。

今回の話は法整備に関するものではなく、ISPぷららが独自に「スパム1通につき100円を請求する」としています。米業界団体であるDirect Marketing Association(DMA)の示した案では1通1万1000ドル(=132万円(1ドル120円換算))ですから、これは随分控えめな提示とも取れるかもしれません。しかしSPAMは普通数千、数万通の単位で送信されますから、たとえば1万通の場合は100万円。なんというか、微妙に現実的な数字になっているあたりが逆にコワいような。それでもまだ安いかな?

ともあれ、法による規制に手をこまぬくばかりでなく、独自の対策を真っ先に表明したことは単純に歓迎できるでしょう。これによってぷららへのSPAMが減るようなことがもしあれば、法整備に向けた弾みもつくかもしれません。

しかし、記事を読んで気になる点もあるんですね。それは何をもってSPAMとみなすかがやや曖昧であるということです。基本的には「トラフィックの監視と、スパムメール受信者からの通知がベースとなる」とのことですが、最終的な判断はどのようにして下されるんでしょう。極端な話、メールマガジンや流量の多いメーリングリストだってトラフィックに影響を与えることがあるわけです。なんでもかんでもSPAMってんじゃたまらない。その基準を示さないままに走りだすことの危険性を指摘しておくことも必要なんじゃないか。

これは別にぷららのことを信用してないとかそういうワケではありません。基準を公開することによってそれをすりぬけるSPAMが出てくるのは間違いないですから、それによって生じるイタチごっこに要するコストを視野に入れてのことじゃないかという気もします。けれどもこのような「SPAMに対する課金」が広まることによって、それを利用して一儲けをたくらむ者がいないとも限らない。さらに言えば、この仕組みが現在メールアドレスの売買によってまわりつづけているSPAM業者間のサイクルの中に取り込まれてしまう可能性だってあるのではないかと思うのです。

まあ、さすがにこれは心配のしすぎだと思いますけど。

最初にも書いたように、この対策が歓迎できるものであることには違いありません。抑止力としての効果ももちろんのこと、ユーザーとSPAM業者との間にISPが仲介者として立つことの効果も大きいでしょう。直接交渉することによって自分のアドレスが「生きている」ことを知られてしまうのはやっぱりイヤですし、言い方は悪いですが、窓口役としてISPを利用するのもアリなのかな、と思ったりもします。

ただ、それが法制度であろうとISPであろうと、やっぱりおんぶにだっこってのはイマイチすっきりしません。複数のメールアドレスを使い分けるとか、メーラーの仕分け機能くらいはちゃんと使うとか、そういう自分でできる対策ってのはやっぱりちゃんとやっときたいものです。とすると、歓迎すれども依存せず、ってのが一番いいんじゃないですかね。

(参考:spamの定義/インターネット 初歩の初歩)