九州(1) 〜方向音痴坂を登ってまた下りる〜

というわけで帰ってきました九州は福岡から。散財しまくりですな。とりあえず思いつくままに記録を残しておこう。
まずは初日。学会だかなんだかで福岡市内にはホテルが取れず、結局スペースワールドとやらの目の前にある八幡ロイヤルホテルに泊まることに。博多駅から最寄の枝光駅までは、JRの快速で1時間近くかかる。1080円ナリ。遠いよ。そして高いよ。
駅からホテルまで、どうせそんなに遠くないだろうと思って徒歩で行ったら、案の定ほどなくそれらしいホテルが丘の上に見えてきた。「そうか登るのか」とテキトーに考えてテキトーな道を行ったのだが、それでたどり着いたのはホテルの裏側。まさか植え込みを飛び越すわけにもいかず、まあ歩いていればそのうちつくだろうとまたまたテキトーに考えて歩きつづけると、案に相違して道は下り坂になた。下ったあとでまた登らなければホテルにはたどり着けない。ハメられたー。
正確に言えばハマったのである。自動詞と他動詞の区別はちゃんとつけよう。
あと、福岡はそんなに暖かくなかったです。寒くもないが。でも30分近く歩きつづけたので汗が出る。なんで九州くんだりまで来て道に迷ってるんでしょう。

九州(2)〜演目の中にはフラメンコもありますが〜

二日目。頑張って朝9時に起きる。日曜日なのに。
しかしそれもこれもRiverdanceのためである。頑張る。再びJRで一時間ほどかけて博多駅へ。JRの中ではRiverdanceの客らしき二人連れと向かい合わせになるが、まったく言葉はかわさず。それよりも後ろの席のほうで妙に声の通るおっさんがえんえんと芸能事情について語っていたのが気になった。本人いわくは「吉田拓郎世代」なんだそうだ。「矢沢栄吉もキャロル時代はたいしたことなかったんだけどねー」とかのたまっていた。そのうち「人間なんて〜」とか歌いだすのではないかと期待していたのだが、幸か不幸かそれはなし。残念。あと、おっさんにひとつだけ言っておきたいことがある。
Riverdanceはフラメンコではありません。
博多駅についたはいいものの、マリンメッセ福岡までの道順がさっぱりわからないのでタクシーを使う。贅沢するときはとことん贅沢するべきだというのは、前回の悲劇つき東京旅行における唯一の収穫である。

九州(3)〜港にて待つ〜

沿道になぜか朝日新聞の旗があるなあ__と思っていたら、福岡国際マラソンだったようだ。全然知りませんでした。着いたのは11時半くらいで、開場30分前すなわち開演1時間半前。いくらなんでも早すぎたらしく、観客はまばらである。とりあえず煙草を一本吸って落ち着きましょう。会場の中ではスタッフが忙しそうに動き回って__いるのかと思えばそれほどでもない。マリンメッセは地震があったら真先に海底に沈むのではないかと思われるほど港のすぐそばにあって、風がびゅうびゅう吹いている。やっぱり暖かくないなあ。九州に抱いていたイメージとはずいぶん違う。かくなる上は沖縄にでも行くより他にはなさそうだ。
モギリのお姉さんが退屈そうにお喋りをしたりこちらに目をやったりしている。いつのまにか後ろには行列が__って私が先頭ですか?

九州(4)〜会場前の一悶着〜

開演時間はすぎたのだが、ドアが開くだけでなかなか客を中に入れない。堪忍袋の切れたらしいいかにも短気そうなおばさんが、「説明しなさいよ!」とか金切り声でスタッフにつめよった。おー、本当にいるんだこういう人。てかまだ1〜2分程度しか遅れてないのに。ずいぶんせっかちなことである。別に10分20分くらい遅れたっていいんだけどねえ。最終的に入れりゃ。自分が観客すべての代弁者だとでも思ってるんだろうか。Show must go on.ってのはたしかにその通りだけど、それが開場からなにから全部時間どおりに進むなんて、きっと誰も言ってないと思う。仮に誰かがそんなことを言っていたにせよ、それはいいとこ理想論だろう。そんなにウマくなんかいくわけがない。
結局開場入りは5分くらい遅れただけで済む。さっさとパンフを買う。1,500円。客の流れは比較的スムーズなように見えた。

九州(5)〜ダブルブッキング・ブロック〜

席は特設スタンド47列。随分後ろのほうだった。言ってしまえば後ろから数えたほうがよっぽど早い。マリンメッセ福岡はいわゆる多目的ホールで、演目に合わせて客席の配置などが変わる。つい先日はバレーボールのW杯が開催されていたはずだ。それにしてもなんともやっつけな感じのする客席ではある。椅子はさながら会議室用といったおもむきで、それがぎっしりと1万人分ほど並べられている様は一種壮観であるが、1万円のチケットにはとても割りあわないように思われた。これで2時間ねえ。普段Kitaraの快適な椅子に慣れてしまっている身としては溜息をつかざるをえない。まあコンサートホールの設備と比べてもしょうがないっちゃしょうがないんだが。
開演まではしばらく時間がある。わざわざ安っぽい椅子で身体を痛めつけている意味はないのでロビーをぶらつくことに。2階に登って入り口を眺めていると、次から次へと人がやってくる。1万人規模のコンサートははじめてなので、ただそれを見ているだけでも飽きることがない。ああそうだ。オペラグラスを買わなきゃ。開演前というのにトイレの前にはすでに長蛇の列ができている。
開演15分ほど前に席に戻ったのだが、なにやら人だかりができている。20人ほどいただろうか、団体客かと思えば、これが全員ダブルブッキングで席に座れなくなってしまった人らしい。そんなこともあるのか、とまるで他人事のように思って自分の席に座ると、なにやら声をかけてくる人がいる。どうやら私の席もダブルブッキング・ブロックの中に入っていたようだ。ひゅー。開演まであと5分くらいしかない。
係員がやってきて、ダブルブッキングになってしまった人用に座席を用意したので着いてきてくれと言っている。どうしたものやら。とりあえず座れそうではあるものの、見ると私の隣の席にはずいぶん大きな人が。デブの隣の2時間ってのはツラいな、と即決してこっそり係員の後ろについてゆく。まあ不満のある人もいるようだが、ここに来たのはなにもイライラするためじゃない。席は確保してくれたってんだからこういうハプニングも含めて楽しむのがいいだろう。
連れて行かれた席は位置こそやや前方にあるものの、ステージの左サイド。ずっと右を向いていなければいけない場所である。こりゃクビが痛そうだ。

九州(6)〜マチネー〜

いよいよ開演。何度も何度もDVDを観たあのリバーダンスがついに目の前で!もはや最初のナレーションだけで心が歓喜で満たされる。感無量である。そして舞台の上で演じられる本物のアイリッシュ・ステップ!くー。艱難辛苦の果てについにここまでたどり着いたと思えばこそ、それが報われた瞬間の喜びは計り知れないものがある。それがたとえ後方でクビが痛くなりそうな席だったとしても。とにかく目に焼き付けたいという欲望の赴くままに、オペラグラスをのぞき、時にははずして全体を眺める。音楽にも耳を傾ける。細かなところなど気にしない。とにかくそこでRiverdanceが演じられていることこそが重要なのだ。あら捜しをしたけりゃDVDをずっと観てりゃいいのである。
演目はライブ・フロム・ジュネーヴ版に近いが細部で違いがある。たとえばリ・ラの変わりにHeartbeat of the Worldだったりとか、Heartlandがカットされていたりとか。実際に見てみるとやっぱり迫力があってどれもよいが、個人的にはShivnaに惹かれた。背景にはおそらく迫害によって追われるものの苦悩があるのだろう。Trading Tapsなどに見られる異文化との衝突〜和解に象徴されるように、融和こそがRiverdanceのテーマだと思うのだが、Shivnaにはそれがない。その暗黒の部分が演目の中でも一種異彩を放っており、そのコントラストが心に残る。あと、やっぱりRussian Dervishはよいね。
舞台を実際に観てみると、照明の効果がDVDで見るのとはまったく違うのに改めて気づく。画面で見ると「なんでこんなに暗いんだ?」と思うのだが、実際にはそれでこそ舞台に華やぎがでるのだなあ、と。
とにかくあっという間の2時間30分だった。クビもとりあえずは大丈夫。

九州(7)〜夜公演〜

昼公演をマチネーというが、じゃあ夜公演はなんと呼ぶのだ?
わかんないですすいません。
書くことは大体(6)と同じだが、席は47列という相変わらずの後方っぷり。まあダブルブッキングになってなかっただけマシか。あと、夜公演の方が空席が多かった。日本最後の公演なのにもったいないなあ。私の座っていたあたりはぎっしりだったのだが、隣のブロックはガラガラ。当日券ブロックだろうか?とはいえ隣に空席がたくさんあるのになんでこんなぎっしり詰められなきゃならんのだ、という不満はあるようだ。隣に座っていた二人組が1部と2部の間でいなくなってしまったのである。さてどこに行ったのやら。あと気になったのは左隣のおぢさん二人。一回も拍手しなかったんですが、一体なにしに来てたんでしょう。
とはいえ、やはり来ている観客の大半は千秋楽であることを知っている。最後には昼にはなかった場内総スタンディング・オベーションになった。もちろん私も立ちました。手が痛くなるまで拍手をし、歓声まで上げてきた。やー、満喫満喫。照明がすぐ点いてしまうのは「早く帰れ」といわれているようでアレだったが、まあどこでもそうなんだろう。せっかくなんでもうちょっと余韻を楽しみたかったけどね。
福岡市内では同じ日にB'zのコンサートもあったらしく、タクシーが大回転していたようだ。

福岡(8)〜最終日/まとめ〜

最終日は観光もせずにホテルで昼までのんびり過ごす。結局博多ラーメンも食わなかったなあ。ああ、ハイアットリージェンシー福岡の朝飯は美味かったです。バイキングだけど種類がそれなりに多くて。あとは福岡駅周辺で飯を食ったり本屋に寄ったりしながら時間をつぶす。旅行に出るとつい本を読みあさってしまう悪癖は改善されず、鞄が大変なことになった。
2時間のフライトの後、札幌に帰り着くと市内はすっかり雪景色。どうやら週末で雪が降ったらしい。滑るー。あ、そういやお土産買うの忘れたな。でもタラコに1,000円も払う気にはなれないし、「ひよこ」なんか買って帰った日には東京土産でいいだけ食ってる人たちからはったおされないとも限らない。あとで白い恋人でも買ってお茶を濁すか。
というわけで2泊3日の九州旅行……というよりはRiverdanceツアーも無事終了。思えば先月の東京旅行からだから、ずいぶん長かったなあ。というか金の使い方が正気の沙汰じゃない。んー、でも不良債権を次年持越しにしなかったのはよかったと思う。次は絶対前の席で見てやる!という想いはあるものの、とりあえず東京以来抱えていたもやもやは消えたし。こういうアホな金の使い方もまんざら捨てたもんじゃないです。やりたいことはやっておけ、というのが総括ですかね。
細かいことまで全部書いたせいで随分長くなってしまったが、とりあえずこれにて終了。もし全部読んだ人がいたらお疲れ様でした。