ドイツ・バッハゾリステン・クリスマスコンサート
のっけからであれだが、ちょっと肩透かし。なにか今ひとつノリ切れないコンサートだった。ただ、指揮のヴィンシャーマンはよかった。1920年生まれの83歳だからもうどこからどうみても立派なジーさまなのである。舞台を歩く姿もよろよろと危なっかしいが、一旦指揮を始めるとこれがなんとも。指揮ぶりよりもなによりも、とにかく音楽を演ることが楽しいというのがこちらにもはっきりと伝わってくる。こっちまで我知らず嬉しくなってしまうような雰囲気。自分も楽しみつつ、聴衆もしっかりその輪に巻き込んでいく。これは人前で音楽をやる以上、なによりも大切なことだよな。
ただ、演奏がちょっと。なんだか音の細部がツブれてしまっているところがときおり感じられた。むーん。もちろんさすがと思わせる旋律も随所に見られるんだが、ちょっと仕上げが雑かなあと不遜なことを考えた。ソリストとしては一級の腕を持っているんだろうが、だからといって単純にそれを集めればよいのかというとそうではあるまい。さっき書いたこととは矛盾してしまうが、ヴィンシャーマンの神通力が届かなかったのだろうか。
あと、最初から最後までずーっと仏頂面で演奏している奏者が何人かいたのも気になった。なんか楽しくなさそうですよ。それともドイツ人ってそういう気質がありますか?無表情で不気味なのは日本人の特権かと思っていたのだが。
指揮:ヘルムート・ヴィンシャーマン
- J.S.バッハ/I.ゴリツキ編曲:2つのオーボエとファゴットのための協奏曲 ニ単調
- ヘンデル:オルガン協奏曲 変ロ長調
- オルガン:ヴィープケ・ヴァイダンツ
- ヘンデル:オラトリオ「メサイア」より
- ピファ(パストラル・シンフォニー)
- アリア「シオンの娘たちよ、大いに喜べ」
- アリア「疲れし者、重荷を負いし者は」
- ソプラノ:天羽 明惠
- コレルリ:合奏協奏曲「クリスマス」より パストラーレ
- ブクステフーデ:トッカータ ト長調
- ブクステフーデ:コラール前奏曲「甘き喜びのうちに」
- オルガン:ヴィープケ・ヴァイダンツ
- J.S.バッハ:「クリスマス・オラトリオ」より アリア「主の御手の前では」
- ソプラノ:天羽 明惠
- アルビノーニ/ジャゾット編曲:アダージョ ト短調
- オルガン:ヴィープケ・ヴァイダンツ
- モーツァルト:主日のための挽課(ヴェスペレ) ハ長調より 主を讃えよ(ラウダーテ・ドミスム)
- ソプラノ:天羽 明惠
- J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番より「アリア」
- ※ いわゆる「G線上のアリア」
- J.S.バッハ:カンタータ第147番「心と口と行いと生活」より コラール「主よ人の望みの喜びよ」