ドイツ・バッハゾリステン・クリスマスコンサート

のっけからであれだが、ちょっと肩透かし。なにか今ひとつノリ切れないコンサートだった。ただ、指揮のヴィンシャーマンはよかった。1920年生まれの83歳だからもうどこからどうみても立派なジーさまなのである。舞台を歩く姿もよろよろと危なっかしいが、一旦指揮を始めるとこれがなんとも。指揮ぶりよりもなによりも、とにかく音楽を演ることが楽しいというのがこちらにもはっきりと伝わってくる。こっちまで我知らず嬉しくなってしまうような雰囲気。自分も楽しみつつ、聴衆もしっかりその輪に巻き込んでいく。これは人前で音楽をやる以上、なによりも大切なことだよな。
ただ、演奏がちょっと。なんだか音の細部がツブれてしまっているところがときおり感じられた。むーん。もちろんさすがと思わせる旋律も随所に見られるんだが、ちょっと仕上げが雑かなあと不遜なことを考えた。ソリストとしては一級の腕を持っているんだろうが、だからといって単純にそれを集めればよいのかというとそうではあるまい。さっき書いたこととは矛盾してしまうが、ヴィンシャーマンの神通力が届かなかったのだろうか。
あと、最初から最後までずーっと仏頂面で演奏している奏者が何人かいたのも気になった。なんか楽しくなさそうですよ。それともドイツ人ってそういう気質がありますか?無表情で不気味なのは日本人の特権かと思っていたのだが。
指揮:ヘルムート・ヴィンシャーマン