自己主張するリンク 〜TrackBack雑感〜

昨日はさっそくT's DiaryさんからTrackBackをいただいて喜びの日であった。しかし『突然TrackBack Pluginを導入した理由』とか書いておきながら、肝心の理由がさっぱり書いていない。これはいかん。とはいっても、要するに流行りものに遅れて乗っかったってだけのことなんだよな。あとはまわりにそういうことができそうな人がいたかどうかというだけの問題だったり。これだから田舎者というのはいかんのである。ファッションにしたって東京で流行ったものが北海道に上陸するのは1〜2年あとだという話があり、そのくせ経済となれば北海道は日本中でも真っ先に不況に陥り、立ち直るのは一番最後だとか言われたりする。救いようがない。
まあ北海道が田舎だといういまさらな話はどうでもよい。T's Diaryさんの『トラックバックの流れ』内の『「トラックバック」と言うのは、「リンク」以上の Web の発明と言えるのかも?』という一文がちょっと引っかかったのである。
実のところ、TrackBackはリンクの機能拡張版なのではないか、と思っていたのだ。だから「リンク」以上の……といわれると、リンクとTrackBackがまるきり別物のような気がして、なんとなく違和感を覚えてしまった。
文書間の連携という意味でのハイパーリンクは、ヴァネバー・ブッシュが1945年に「われわれが思考するごとく」という論文の中で連想索引法として提起したのが最初だろう。それをテッド・ネルソンハイパーテキストとして発展させ、ティム・バーナーズ・リーがHTMLやHTTPによって現実に供した。その後はご存知とおり、現在のWebがあるわけだ。
薀蓄はともあれ、ハイパーリンクこそがWebにおけるもっとも重要な要素であるのは間違いない。しかしながらWebにおけるハイパーリンクの実装には、ひとつ欠点がある。相互接続におけるS/N比の低さだ。
単にリンクを張るだけでは相互接続は確立しないが、それを解決するためにHTTP Refererがある。そのおかげでこの日記でも「本日のリンク元」の表示が可能になっている。これによって文書間の相互接続がなされるわけだけれども、それだけだと不満なところが出てきてしまうんですな。リンク元がどういう文脈で参照したのかは、実際にリンク元に行ってみないとわからないのである。単に検索エンジンに引っかかっただけなのか、それともこちらの内容に踏み込んだ言及がなされたページなのか?参照元のプライオリティが一律なために、両者の区別がつかないのである。それをここではS/N比の低さと呼んだ。せっかく一生懸命考えて反応したのに、検索エンジンのノイズにまぎれてそれが相手に届かないなんて、切ないといえばあまりに切ない。俺の意見をちゃんと聞いてくれ!
これを解決するのがTrackBackというシステムなのである。つまり、私はこういう考えでリンクを張ったんです、という主張が可能な、従来のものにくらべてより積極的なリンクである。その自己主張の強さがなんとなくアメリカンな感じはするし、日本でなかなかTrackBackが流行らないのもなんとなく頷ける気もする。もちろん実際私がこうやってTrackBackをしているわけだから、これは単なるステレオタイプな思い込みに過ぎないのだけれども。
つまるところ、TrackBackは現在のシステムにおける不満を解消するために導入された「自己主張するリンク」なんじゃないかと思うわけだ。その積極性がゆえに『リンク以上に結びついたような感じがする』のかもしれないなあ、なんて考えてみた。
つか、このへんは「ウェブログ・ハンドブック」あたりに書いてあるんじゃないかなあ、という気がする。買ったはいいけどまだよんでいないのですよ。うーむ。