発泡酒をビールと呼ぶか

仕事帰りにふらふら歩いていると、ある居酒屋の立看板が目にとまった。タイムサービスで生ビール一杯98円とか書いてある。普段酒を飲まない私にとっては「ふーん」程度のことでしかないのだが、それでも随分安いような。でもどうせ出てくるのは発泡酒なんじゃねーの?と思ってしばし考える。
発泡酒ってビールじゃないよな。
酒税法上、発泡酒はビールではなく雑酒に分類されていたはずである。最近は度重なる法改正があって価格の優位性が揺らぎつつあるものの、それがゆえにビールよりも安かったはず。それなら発泡酒のことを生ビールと称して売るのっていわゆる不当表示なんじゃないの?という気がする。
で、ちょっと調べてみることにした。「不当表示」でぐぐってみると、関係する法律は不当景品類及び不当表示防止法であることがわかる。問題になるのはその第4条3項

前2号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

だろう。問題は『公正取引委員会が指定するもの』に居酒屋のビールと発泡酒が指定されているかどうかだ。
しかし法律ってのはこうやって『別に定めるもの』が多くて調べるのがめんどいですな。ここでは『公正取引委員会が指定する』って書いてあるんだから公正取引委員会(公取委)のサイトを調べりゃよかろう、とか思うのであるが、よっぽどヒマじゃなきゃここで引き返したくなる。いちいち施行令やら施行規則とかまで調べるのは大変だ。ここで『公正取引委員会が定める』から関係法規にリンクが張られているととてもいいと思うのだが、さすがにそれをやるとエディターが死ぬのだろう。少なくともフリーでそこまでやっているところは見たことがない。
閑話休題。で、公取委のサイトで見つけたのが『不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件』というやつ。ここの2項三号『ポスター,看板(プラカード及び建物又は電車,自動車等に記載されたものを含む。),ネオン・サイン,アドバルーンその他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による広告』ってのがある。これでどうだ。今回の場合は居酒屋の立看板だからここでいう『看板』に該当するだろう。したがって発泡酒を生ビールと称して売るのは不当表示に該当する可能性があると言えるのだ。恐れ入ったかわはははは。
いや、そんなこと承知の上で飲んでんだからガタガタぬかすなこのヒマ人、とか言われりゃそれまでですが。居酒屋に入って最初の注文が「とりあえず発泡酒」ではあまりにも哀しい、という気持ちもあるかもしれないし。