ワンダの日記

ワンダと巨像」より。ネタバレを含む。

10体目

道のりは遠かったが迷わなかった!日々進歩し続ける俺は本当にスゴいと思う。
けれども馬に乗ってはいてもあまり長距離の移動は疲れる。一体どれだけ広いんだここは。巨像にたどり着いたときに疲れ果てていたら話にならんので、途中の祠で一休みすることにした。見晴るかすと海が見える。
随分遠くまで来たもんだ……と感慨にふけっていたんだが、せっかくのいい気分なのに視界の隅をトカゲがちょろちょろとウザい。よく見ると尻尾が発光していやがる。そんだけ目立てばウザいわけだ。とりあえず腹立ち紛れに弓で射てやると、尻尾を切り離して逃げていった。そういや国のジジイが光る尻尾は滋養強壮肉体疲労時の栄養補給に最適とか言ってやがったな……ということで焼いて食ってみることに。
苦!
地獄のお釜にこびりついたおコゲみたいに苦い!くっそだましやがったなあのジジイ。帰ったら絶対シメる。その後口直しに見つけた木の実を食ったが、3つ落としたはずなのに1個はどっかいっちまった。さては、と疑惑の目を向けるとアグロはぶるると首を振る。馬のくせに察しのいいヤツだ。
巨像は洞窟の奧まったところにある砂丘にいた。近づくと地鳴りがしてぐわおってのにもそろそろ慣れてきたな。今回はアグロに乗って辿り着けたので余裕しゃくしゃくだ。のんびりどんなヤツかと観察してやる。
蛇?
つーかこないだ湖にいたビリビリ(7体目)に似てないかコイツ。ビリビリこそしていないものの、トゲが生えてるところまでそっくりだ。一体どこのどいつがこんなハタ迷惑な巨像を作ったのかは知らないが、さては10体目にしてネタづまりか。
つーことはこないだと同じ戦法で倒せるかね、と思ったのだが、よく考えたらここは湖じゃなくて砂丘だ。にも関わらず巨像のヤツは潜ったりしてますよ?ちょっと待ちやがれ。俺は砂の中になんか潜れねえぞ!どうしたもんかと迷っているうちに手綱が緩んだのか、追いつかれて吹っ飛ばされた。畜生。
仕方がないので岩の足場でもう少し観察することにする。背中で岩が柱状になっているので、ヤツもさすがにここまでは来られない。ざまみろ。しかしただ見てるだけで倒せるワケじゃねえからなあ……と、どこかから「眼を狙え」とかいうアドヴァイスが。あのドルミンとかいうヤツか?もとはと言えばお前のせいでこんなに苦労するハメになったんじゃねえか!それが今度はエラそうにご宣託かよ。つくづく人を見下した野郎だ。ボイスチェンジャーでも使ってるのか、ジジイとガキが一緒に喋ってるような声だが、きっとロクなやつじゃないね。友達だっていないと見た。
とはいえ助言はありがたいので弓を構えて眼を狙うことにする。しかしやつの動きが速すぎて狙いがつかない。つっても俺の足じゃおびき寄せるにしても限度があるし、ここはアグロの助けを借りるしかなさそうだ。できれば安全地帯でラクしたかったが仕方がない。さあ乗ったぞ。マラソンの白バイ先導よろしく走れ走れ!
しかし背後から迫ってくるヤツを狙うとなると両手離しでやらなきゃならん。危なっかしいことこの上ないが、そうでもしないとただ逃げてるだけになっちまうのでそれはそれで業腹だ。ああやるよ、やってやんよ!とヤケクソ気味にやってみたら本当になんとかなった。意外にできるもんだなあ、とは思うが、やっぱり俺がスゴいせいだと思う。
まあ狙いの精度は悪いんだが、それは仕方ないだろう。それでも何発か射っているうちに命中!目つぶしを食らったヤツはさっきまで俺がいた岩柱にドタマをぶつけてやんの。いい気味だ。そして悶絶している間に背中によじのぼり、グサグサやる。気づいちまえば楽勝だな。
ところで、今日は不思議なことに長時間巨像の毛をひっつかんでいてもあまり疲れなくなっていることに気づいた。さてはあのトカゲの尻尾か?