OSにできることだってまだたくさんあるはずだ

シングルクリックの機能って、IE4でブラウザとシェルの統合が打ち出されたときから可能になってたんじゃないかなあ。ちょっと調べてみるとWindows95 OSR2.5なんてのがあったんですな……。ともあれそれから随分経ったし、そろそろホバーセレクト、シングルクリックで実行ってのがデフォルトになってもいいような気はしますね。
それはともあれ、末尾の

この原稿を書いている最中に、何気なく、gooのRSSリーダーウェブ版を開いてみたら、予定されていたリニューアル作業が終わっていた。機能改善後の新しいUIでは、登録したフィードの一覧から、読みたい項目をシングルクリックすると、ウィンドウ下部にその概要文がオーバーラップウィンドウで表示され、ダブルクリックでそのリンク先が開くようになっていた。

という話は知りませんでした。WebってPC OS以上にダブルクリックを使わない世界だと思っていたので、これはちょっとびっくりです。そういう意味では

Web2.0の時代とは、シングルクリックで完結していたブラウザの世界に、ダブルクリックを持ち込むのかと思うと、ちょっとショックだった。

というのに同感かも。もっとも「ショック」ってほどでもないですけど。



最近はWebがどのように進化していくかってことに論点が集まっていて、OSのこれからって話はあまり出てこなくなったなあと思います。特にAjaxWeb2.0ってキーワードが出てきたあたりからその傾向が顕著で、WindowsMac OSとか、WindowsLinuxで「宗教論争」とまで言われていた頃が随分昔のことのようにさえ思えてしまう。
もちろん時代に合わせて注目される分野が変わっていくのは当然です。でも、ちょっと待てよ、という思いもないではないんですよね。ダブルクリックの話なんかもそうですけど、PCのOSにできることって、まだたくさんあるはずなんです。ユーザーインターフェースの話はもちろんのこと、アーキテクチャの面でも。
えーと、MacOSLinux等の話はあまり詳しくないのでとりあえずWindowsに限定して話をしますけれども、上のような意味で言えば、WindowsってWindows95マルチタスクが採用されたのを最後に、新しい試みがほとんどなされてないんじゃないように見えちゃうんですよね。もちろんカーネルがNTベースへと移行したとか、デカい話はあるんですが、ユーザーにはっきりと見える部分では、Windows95→98→Me→XPでなにがそんなに変わったかなぁ、と。
といっても、そこに払われた労力や成し遂げられたことを軽視しようってわけではないです。たとえばNTベースのカーネルになったことによって、OSの信頼性はずいぶん高いものになったと思います。少なくとも私はWindows XPブルースクリーンを見たことがありません。当たり前っちゃ当たり前のことですけれども、それげ実現されるためには大変な労力が必要だったはずです。こういうのって地味なだけになかなか評価されないけれども、もっと敬意をはらってもよい部分であるのには違いありません。
でも、これって結局は「停電の心配をせずに電気が使える」みたいな話なわけでして、できればそろそろ「電気を使うとこんな新しいことができます!」という話を聞きたいし、そういうモノを見てみたい。使ってみたいという気がします。
そういう意味において次期WindowsであるVistaに搭載されるはずだったWinFSにはすごく期待してたんですけどねー。結局のところは後ろ倒しになってしまってとても残念でした。まあGoogle Desktopでも使ってりゃいいのかもしれないですけど、新しいファイルシステムを採用することによって、もしかするとPCの使い方が劇的に変わるかもしれないという淡い期待を抱いたりもしたのですよ。TRONにおける実身−仮身のシステムとかあったよなあ。もっともVista絡みのニュースを見ている限りでは、そこまで大きな変更があるようには見えないですし、結局のところ過去の遺産を引きずらざるをえないのでそこまでの大変化は期待するだけ酷なのかもしれませんが。
PCの世界って進化が早いせいもあって、過去の経緯を引きずっている部分と新しく出てきた部分とがごちゃまぜになってワケのわからない状態になっている部分が多々あります。UNIXの世界から引き継がれているディレクトリツリー式のファイル管理法もそうですし、そもそもファイルという存在そのものだってそうです。Macintosh以来のダブルクリックも然り__というわけでようやく話がダブルクリックに戻ってきました。
もっともダブルクリックに関して言えば、少なくともWindows上では設定によってほとんど使わずに済ませることもできるわけです。これは小さいながらも大きな変化で「コレはそういうモノなのだ」というのが単なる思いこみに過ぎないものってはもっとたくさんあるんじゃないかなあと考えさせられます。
Webでハイパーリンクをたどる際に使われたシングルクリックがOSへとフィードバックされたように、今後もWebからOSへとフィードバックされていく要素は増えていくでしょう。特にUIにおいてはそうですね。しばらくはそういう方向で進んでいくのかなあという気がしています。それはそれで堅実な進化ですから決して悪いことじゃないですけど、たとえば最近話題のマルチタッチ式ディスプレイのように、もっと劇的な変化がおきればいいのにとは思います。