英雄伝説VI SC

英雄伝説というキーワードで来られる方が結構多いようなので感想文でも書いておこうかと思いました。ネタバレを含みますので注意。
前作FC(First Chapter)とあわせて、ようやく英雄伝説VIが完結します。なのでSC単体でやってもどうにもならんのですが、FCが発売されてから約1年半。結構待たされたなあという感じがします。FCがかなり思わせぶりな終わり方をしていたこともあり、せめて1年以内には出してほしいと思っていたのですが。
とは言ったところで、ゲームの内容的には概ね満足です。つーか前作と比べてボリュームがすごいことになってました。昔の日記を読み返してみるとFCは24時間くらいで終わったとか書いてあるんですが、本作は60時間以上かかってます。つまり英雄伝説VIはトータルで80時間以上かかるゲームということになる。すさまじいですな。
ストーリー的にはライトファンタジーとでも言いますか、ガガープトリロジーの頃と同じくいかにも英雄伝説という感じで、非常にオーソドックスです。なんかいい人がいっぱいです。展開としては前作を活かした部分や、複線の回収も随所に散りばめられていて「おー、そういうこともあったなー」と感じる部分も多く、やっていて楽しかったですね。サブキャラクターに関するエピソードも多いので、物語としての厚みが随分増したようにも思います。次作以降を匂わせる展開もあり、今後も楽しみにしたいところ。
幕切れもあくまでも前向きに、ということで後味もすっきりしてます。その頃にはすっかりキャラクター達や世界に対する思い入れもできあがってしまっていて、もっとこの世界でこのキャラクター達と遊んでたいなあ、と思わせられる。これだけ長い時間をかけたにもかかわらず「やっと終わった……」という徒労感はほとんどなく、むしろ余韻に浸ることができるというのは、実は凄いことだと思います。
あと、今作ではとうとうムービーが使われるようになりました。クオリティもなかなかで、かといってゲームの流れをぶった切るでもなく、好感が持てました。3D化といい、ムービーといい、ここまでくるとコンシューマ向けのゲームとほとんど変わらないなあ。



てなわけでまずは堪能したわけですが、そうはいっても不満がないわけじゃありません。
これも結局はプレイ時間の長さによるものなんですが、いささか「引き延ばし」的な部分が目についてしまったところがあります。特に終盤部分なんですが、いわゆる「お使い」的なイベントが連発でちょっとアレです。
なんたってリベール王国一周徒歩の旅がようやく終わったと思ったら、今度は今まで言ったことのない場所をえっちらおっちら探索しなきゃいけないのです!正直これはかなり大変でした。早く先に進みたいのに!しかもキャラクターのレベルがバラバラだから経験値稼ぎもしなければいけません。キー!このへんはぶっ飛ばしてしまった方が、イベント連発でクライマックスに向けた盛り上がりが演出されるんじゃないかという気もするんですけどねえ。どうなんでしょう。
あとは戦闘のバランスがややヌルめでした。そんなに一生懸命経験値稼ぎをした覚えもないのですが、それでもボス戦で苦労した記憶はほとんどありません。新要素としてのチェインクラフトは味方だけでなく、敵方にも使うようにしてやるとチーム対チームの戦いって感じでもっと臨場感が出たと思いますけどね。敵方の取る作戦ってのがせいぜい集中攻撃くらいで、あとは個々でバラバラにかかってくるだけなので、レベル調整がどうしても単調にならざるを得ないんじゃないか、などとも思ってしまったりしてちょっと気になりました。

というわけでとりあえず気になったところはこんなところでしょうか。細かく突っ込んでいくともっと色々あるんでしょうが、あんまり長々と書いても仕方がないのでこれくらいにしておきます。いずれにしても個人的には非常に楽しめたことは確かなので、じっくり腰を据えてRPGをやりたい!という向きにはおすすめです。すごくオーソドックスな作りで「こりゃすげー!」というような新要素があるわけではないのですが、むしろそういうゲームの方が珍しかったりするので安心でもあります。国産RPGにおける王道と言ってもいいでしょう。SC&FCのセットで約1万円ってのが高いのかどうかは微妙なところですが、コストパフォーマンスは悪くないと思いますよ。


英雄伝説 空の軌跡SC 限定特典版

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英雄伝説 空の軌跡 完全版 FC&SC

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