スタンドアロン型との差別化としてのタグ付け機能

で、Livedoor Readerを使っていてふと思ったのはフィードの登録数が増えていくとフォルダによる分類ってのは破綻するなあということでした。たとえ階層化ができるようになっていてもこれは同様で、PCでのファイル整理やメールなんかですでに経験済みのことでもあります。

このへんを解決するための手段としてのタグ付けってのを考えたんですが、どうなんでしょう。

フォルダによる分類の問題点ってのは、1つのアイテムが1つのフォルダにしか存在できないところにあるわけです。そのためにたとえばファイルの整理なんかではショートカットなどの手段があるわけですが、これにはショートカットが実体とは別のファイルとして扱われるが故の問題がまたあったりする。もちろんUNIX系OSにおけるハードリンクや、TRONの「実身-仮身」なんて考え方もあったりはしますが、これはあまり一般的じゃない。

最近だとこのへんを解決するためのアプローチとして、RDBMS的なデータの取り扱いってのもあって、これはこれでひとつの考え方ではあります。いっそのことフォルダによる分類をやめちゃって、全部のデータをフラットに扱う。データの絞り込みはキーワードや日付などで行うってのは、まあそれなりに便利だったりします。

これ、私の職場で使っているメーラーLotus Notesがそんな感じになっていて、なかなか便利なモノでもあります。単なる検索や絞り込みくらいなら別にDB的な取り扱いをしなくたってできるんでしょうが、Notesの場合は他にもフォルダによる分類も並行して使えるようになっていて、もちろんフォルダ内検索も同様に行えます。そのへんが複合して使えるってあたりはDB方式を採用するメリットなのかなあという気がしますね。もっともNotesはなにぶんUIが独特すぎて使い勝手が悪くなっている部分も多々ありまして、非常に残念感が強かったりもします。結局は差し引き0ってところなんですが、それでもまあDB方式ってのはなかなかいい方法なんじゃないかという気はします。

ただし、これをそのままRSSリーダーに適用するわけにはおそらくいかないでしょう。

メールの場合はタイトルの他に本文がありますから、ひとつのデータ(=1通のメール)に比較的多くの情報がつめこまれています。これだとフリーワードによる検索もそれなりに使える。でもRSSフィードはどうかというと、単にURLやタイトルだけだとちょっとなあって感じですし(今のLivedoorReaderはこれ)、だからといって本文を全部検索対象にしてやると今度は対象が広すぎて途方に暮れちまいそうです。

つーわけでアイテム登録時にユーザーがタグ付けをするようにしたらどうなんだろうなあ……というのを考えてみたんですけどね。さてどうなのやら。

なんかあんまり乗り気じゃなさそうなのは、果たして個々のユーザーがそんな面倒くさいことするんだろうかっていう疑問があるからです。メタ情報ってのは古今東西様々な分野で使用可能になってるんですが、はたしてそれがちゃんと機能してるのってどれくらいあるかなあ。ちゃんと作成者情報やら要約やらが記入されてるワープロ文書なんて見たことないぞ。

これは多分メタ情報を入力するだけのインセンティブが作成者にはないってところが問題なわけです。そしてこれがメタ情報による情報検索のもっとも大きな障害でさえあると私は考えてます。どれだけすばらしい検索エンジンがあったところで、対象となるデータが存在しないことにはどうしようもないですからね。

メタ情報の入力ってやつでひとつだけ成功している例としてあげられそうなのは、Webページのサーチエンジン最適化(SEO)ってやつです。なぜこれがきちんと機能しているのかと言えば、これには「たくさんの人に見てほしい!」という明確なインセンティブが働いているからなんですね。ではさて、RSSリーダーにおけるアイテム整理ってのはそれだけのものか?と言われるとこれは疑問。少なくとも私はやらないと思います。最初は一生懸命やるにしても、そのうち面倒になっちゃってやーめた、となるのが目に見えている。

しかしなにかいい方法はないかなあ、というわけでちょっと考えました。タグ付けと言ったらまあなにはさておきはてなブックマークなんでしょうが、そういや「おすすめタグ」なんてのがあったなあ、と。これは使えるのではあるまいか。すでにそのアイテムを登録している人が付けているタグを、登録時に「おすすめタグ」として選択できるようにしておけば「このアイテムにはどんなタグがいいかなー」と考える手間が少しは省けます。もちろん適切なタグが付けられていないことには意味がなかったりもするわけですが、そこはそれ、今流行の集団知ってやつがなんとかしてくれるでしょう。あとはタグ検索のための使いやすいインターフェイスさえ使えれば結構モノになるかも。

というわけでどうでしょうねえ、RSSフィードへのタグ付け機能。「おすすめタグ」なんてのはWebサービスとして提供されているがゆえのサービスとして、スタンドアロンRSSリーダーとの差別化をアピールできる機能になったりするんじゃないかと思いますが。

まあ、フォルダ型分類で破綻しそうになってるユーザーがそんなにいないから、乗り換えのインセンティブそのものが働きません!とか言われりゃそこまでですけどね。