RentaNet凍結で考えたゲームのレンタルについて

前にネタにしたよなあと思って探してみたら去年の4月26日でした。一年経たずにってことですが、単年度の事業だと思えばこんなもんかもしれないです。電撃オンラインには『本事業の凍結に伴う特別損失処理額を3,249万5千円と計上している(平成19年3月期第3四半期にて計上済み)。』と書かれてまして、これがいかばかりのものかって気がするので公開されている財務報告書をちょっと見てみました。
えーと19年度第3四半期の税引前純利益は187,574千円なんだそうです。これは前年同期比で-276,912千円、増減率は-59.6%。えらい減益って感じですな。もっともRentaNetの凍結による特別損失がなかったとしても約2億4千万円の減益になっちまうわけでして、減益額に占めるRentaNetの寄与率ってのはせいぜいが15%程度に過ぎません。
そもそも当期営業利益が-241,004千円(前年同期比-71%)だってんだからRentanetの影響というよりは要するに本業が不振なんでしょうってことみたいです。『家庭用ビデオゲームソフトの主力タイトルの多くが、第4四半期以降に発売を予定していることなどが影響』って書いてあったりしますけどね。そうなんですか?ふーん。
まあいいや。それよりも面白かったのは注記事項として『※4 特別損失の項目レンタル事業清算損』とか書かれていることですね。まあ普通に考えれば「凍結」がなにを意味するのかってのはすぐわかりそうなもんですが、はっきり「清算」と書かれると血も涙もない感じですね。傷口が大きくなる前に手を引いたのは賢明だったかもね、とそのうち誰かが褒めてくれるかもしれません。
というように会計関係の資料をたまに見てみると、日常生活とはまったく違う日本語が使われたりして新鮮だったりしますな。しかもただ右から左へ書き写しているだけなのに、なんかアナリストみたいでカッコよく見えたりするかもです。ハッタリ素晴らしいですね。



もっとも私はKOEIさんの株を持ってたりするワケじゃないんで、これ以上突っ込んでもしょーがないっちゃしょーがない話ではあります。それよりかはもうちょっと視野を広げてゲームのレンタルについて語ることで更にエラそうな感じを醸し出していきたい。ハッタリをかますならとことんかますべきなのです。
どういうことかというと、ゲームのレンタルって考え方自体はそんなに悪いアイディアでもなかったのでは?ってことです。
ゲームってのはたとえどれだけ情報誌などを読みあさったとしても結局遊んでみなけりゃわからんという厄介なブツだったりします。けれども安くても数千円はするわけで、そうホイホイ買えるものでもない。
その敷居を下げるために、レンタルってのは有効なんじゃないかと思うんですけどねー。たとえば3泊4日で3〜500円程度の価格設定にして、それで気に入ったらそのまま差額を払ってお買い上げ__というようなシステムだったらどうかなあと思ったりするのです。もちろんお気に召さなければそのまま返却というわけで。
RentaNetの問題ってのは新作は3泊4日で2,700〜2,800円、1ヶ月なら5,000円という料金設定のとんでもなさにありました。これじゃいくらなんでも借りる気しないですよ。この料金設定に一体どういう思惑があったのかはわからんですが、レンタルで儲けようと思わない方がいいんじゃねえの、という気はするのです。
だってさ、そりゃレンタル専業でやるならそこで儲けなきゃ存在意義すらないわけですけど、今回はメーカー自らが乗り出すシステムだったんですよ。その立場を活かさない手もないでしょう。それならレンタルは新品購入の窓口と割り切っちまったほうがよかったんじゃないかなあ。結局メーカーさんとしてはゲームが売れるのが一番いいんだろうしさ。
だとすればレンタル料金は思いっきり下げた方がいいでしょ、ってことでさっきのような話が出てくるわけです。つーか購入の敷居を下げるためのレンタルって位置付けなんだから安くしなきゃ意味ないのです。
もちろんそれを採算ベースに乗せようとしたらすげー大変でしょう。というか採算に乗せようとした結果がRentaNetの料金設定だったのかもしれないですが、そこはもう割り切った上の事業なんですよ。つまるところ赤字は出るもんなんですが、その効果として本業であるゲームの売上が上がってくれれば結果オーライじゃね?というかなり大雑把な考え方です。
そういう意味で残念なのは、今回の一件でゲームのレンタルにたいするマイナスイメージが先行しちゃうことだと思うのです。やっぱり前例があると人はついそこに学びたくなるものでして、今後レンタルの話が出るたびに「でもRentaNetはポシャったよね」と言われるんであればそれは残念なことでしょう。
ただ、このアイディアの話ってのは結局今いるユーザーが購入するゲームの本数をいかにして増やすかって話で、DSやらWiiやらでゲーム人口そのものを広げようとした任天堂の戦略とはまったく違うんですよね。一人当たりの購入量を増やすアプローチってのは今は流行らんだろうなあ。ただ、今現在ゲームの値段が下がってるかと言ったらそうでもないわけで、このへんはそろそろなんとかならんもんかという気はするのです。それがレンタルというシステムである必要はかならずしもないのかもしれませんが、ま、枯れた技術の水平思考ってやつですよ(そうか?)。
てか去年は「中古販売に乗り出すべき」とか言ってたんだなあ。言うことがくるくる変わるヤツのことは、あまり信用するべきじゃないですね。