パックランドでつかまえて

風邪を引いたようで喉が痛いのです。というわけで超長風呂をしようと思いました。長風呂をしてたっぷり汗をかいてさっさと風邪を治そうという魂胆です。もっとも正直手ぶらで長風呂というのは恐ろしく退屈なので、こういうときは大体何か本を持って風呂に入ることにしています。本は傷むでしょうがまあいいや。
で、今日選んだのは「パックランドでつかまえて」でした。ポケモンの作者である田尻智が著者です。とはいえ私はポケモンを一度もやったことがないので、こういう紹介の仕方には少し違和感があったりする。私にとって、田尻智は本書「パックランドでつかまえて」を書いた人、という印象が強いんですな。つーか今手元にあるのは復刊.comを経てエンターブレインから02年に復刊されたもので、もともとは90年にJICC出版局(現宝島社)から出版されてる本なんですが。古いな、というかどうやら私の中では時間が止まっているようです。しかも15年以上も。
内容はTVゲーム黎明期におけるゲームフリークの思い出話という感じでして、取り上げられるゲームもインベーダーゲームからゼビウスドルアーガの塔など、かなり古いものです。ちなみに全部ゲームセンターでの話でコンシューマゲーム機の話はこれっぽっちも出てきません。時代としては80年代ってことになりますか。読んで喜ぶのはおっさんだろうなあという感じ。
で、私も立派なおっさんなのでこれが楽しいのです……というとさすがに切なくなるというか、さすがにそこまでおっさんじゃねえよということなのですが、じゃあなんでそんな本を読んで楽しんでるのかっつーと、もとはといえば本作が「ファミコン必勝本」で連載されていた頃の読者だったからなんですよ。えーと多分小学生のころだ。ちょうど年上のお兄さんから武勇伝を聞くような楽しさがあって、毎号楽しみにしていたような記憶があります。たとえば84年の風営法改正前夜に、最後の24時間営業となるゲームセンターをハシゴする話とか、その最中に警察官に見つかって夜の新宿を走り回る話とか。84年といったら私はまだ10歳にもなっていなかったし、大体北海道の片隅の街にいたわけで、そんな話には関わりようもなかったですけどね。
私の年代はそこからおおよそ10年くらいあとの世代になりまして、ゲームセンターの盛り上がりってのはその頃ほどではなかったんだと思います。ただ、「ストリートファイター2」から始まる格闘ゲームブームに差し掛かる頃というのもあって、まだゲームセンターが中高生(♂)の遊び場でありえたというか、学校帰りに気楽に「ゲーセン行こう」と言えたんじゃないかなあ。最近はどうなんでしょうね。
つーかこの間土曜の昼間にたまたまゲーセン入ったんですが、中高生らしき人がほとんどいなかったんですよ。せいぜい大学生くらいかってのがちらほら。で、なにしてるのかっつーとカードで記録が残せるタイプのサッカーゲームとかやってる。継続的に1つのゲームにお金がかかるってのは、ゲームセンターに縛り付けられるみたいな感じがしてあんまり好きじゃないなあ。でも面積比を見ると今はそういうタイプのが主流だったりするようです。あと、そのゲームセンターは3階だったんですが、2階が全部プリクラのみのフロアになっていて「男子禁制(女性連れならOK)」ってことになってました。
まあ乱暴に言ってしまうと趣味が多様化して、ゲーム好きの比率が徐々に低まってるってことなんでしょうが、いや、私の頃だって趣味は多様であったには違いないんですが、なんつーかこう、メインストリームな趣味と呼べるようなものはあるんだろうかってのが気になるところです。果たして今の中高生には、10年後に誰と話してもそれなりに盛り上がる「鉄板」の話題はあるのか。私がそんなこと気にしてもしょうがないんでしょうけど、なんとなく気になってしまいます。今どきの中高生(♂)は、果たしてどこにいるのであろうか。ちなみに私の世代であれば、ドラクエ3の話題を振っておけばそんなに大ハズレはないように思います。やっぱりゲームかよ。
そういう意味ではポケモンってのは小学生くらいのレンジになるとは言え、普及度で言えば「鉄板」になりうるのかもねってことで無理やり田尻智のところへ話を戻してみるわけです。シリーズがたくさんあってなかなかよくわからんところはありますが、Wikipediaには『2006年2月現在で同タイトルを冠したソフトは世界で1億4千万本以上売れている(株式会社ポケモン調べ)』なんて記述もあるわけで、これはもう「鉄板」どころかワールドワイドなトピックスだったりするのかもしれません。ヨーロッパとアメリカと日本のビジネスマンが集まっては「俺たちが子供の頃はよくポケモンを集めたもんだよなー」とか言って意気投合してしまうかもしれないのです。大したものです。「ゼビウス1000万点への道」からは想像もつかない。ああうらやましい。
てな感じでふらふらと考えたりあれやこれやと羨んでいたら、いつの間にか風呂の湯がすっかり冷めていて寒い思いをするハメに陥りました。風邪を治すつもりがこれではまるっきり逆効果だ。というわけで本日今に至っても喉が痛いままだったりします。そしてのど飴の消費量は大変なことに。今日もまた長風呂しないとなあ。何読もうかなあ(懲りてない)。