記憶、夏

Alt-Rが7月いっぱいで活動を停止するそうです。原因がドメインハイジャックというあたりが非常に残念なのですが、仮にそうでなかったとしてもものすごく残念です。はじめてAlt-Rを訪れたのが2001年6月だから今から約6年前。長いようなそうでもないような気がします。といっても私自身は雑談解放区を使うわけでもない、単なる読者に過ぎなかったんですけどね。それでも船田戦闘機さんには何度かメールを出したことがあって、その都度きちんと返信を頂けたのを覚えています。



しかし、はじめて訪れたのがいつなのかってことをなにゆえ覚えているのか。確かに普通はそんなことあっさり忘れちまうもんですが、まあそこにはそれなりに印象深いことがあるわけです。私がAlt-Rを知ったのは「Quio's Workplace」というサイトがきっかけだったんですけれども、そのサイトを運営していた石原潔さんが、私がAlt-Rの存在を知った3ヶ月後の2001年9月に突然お亡くなりになってしまわれた。ミもフタもない言い方ですが、つまりそういうことです。「Quio's Workplace」は当時個人的に一、二を争うほどに好きなサイトだったため、なおさら深く記憶に残っているのです。

サイトの運営者が亡くなってしまうにせよ、サイトが活動停止になるにせよ、それが哀しいことには違いありません。けれども、世の中に数多あるサイトについていえば、明示的に終わりが宣言されることはむしろ珍しい。調査をしたことがあるわけじゃないですけど、おそらくは「放置」されることの方が多いでしょう。いつか再開されるんじゃないかと思いつつ日に日に寂れていくサイトを見ることを考えれば、はっきりとそのサイトの「終わり」がわかるというのは、その瞬間に好きなだけ残念がることができる分よほど幸いであるような気がします。

Alt-Rに関して言えば、活動停止後もしばらくコンテンツの公開はされていくそうです。もっとも、年内いっぱいくらい、ということらしいので、今の内にまとめ読みをしておいた方がよさそうですね。というか閉鎖のアナウンスが出る数日前からちょうどまとめ読みを始めていたところなので、そのタイミングの良さにいささか驚いてみたりもしています。まあ、私になにができるわけでもないのであとは淡々と受け入れていくだけしかありません。うーん、終わりに立ち会うことのできる幸せを噛みしめるべきなんだろうかって気もしますが、実際にはなかなか難しいですね。

今日は久しぶりにいい天気でした。出勤途中にはミンミンゼミの鳴き声も聞こえてきます。これからどんどん増えていくんでしょう。それこそうるさいほどに。これからしばらくは彼らの季節ということになる。
つまり、夏は死の季節です。