不思議なキーボード

なんやら面白いもんを作りましたなー、という感じの製品です。なんだかんだいったところで、キーボード配列を覚えるってのはPCを使う際の大きな障壁であり続けていると思うのですよ。特にキーボードを打つのはせいぜいメールくらいで、そんなにPCをバリバリ使うつもりがない人ってにとっては。「なんでこんなヘンな配列を覚えるのに苦労しなきゃならんのですか!」って聞かれるとけっこう答えにくいものがあるしなあ。
というわけでちょっと興味をそそられて製品情報を見てみました。……えー、なんと言いますか、こいつは謎な製品だなあという思いがふつふつと湧いてくるんですけれども。なにしろ標準価格が19,950円(税込み)ってんだから初手からしてぶっ飛んでます。キーボードなんて980円でも買えるし、そもそもPC買ったら当たり前に付属してくるからなあ。「PCをバリバリ使うつもりがない人」は、そこに大枚をはたいたりはしないでしょう。で、製品の特徴のところを見てみてみると、ますますよくわからなくなることが書いてある。

  • ドイツCherry社の高品質メカニカルキースイッチを採用
  • キースイッチを金属フレームに組み込む事により、高い剛性と快適なキータッチを実現

……なんかムダに豪華。つーか一体誰にこの製品をアピールしたいのかさっぱりわかりません。キーボードマニアでもない限りこれらの特徴に価値を見出したりはしないと思うんですが。まして「PCをバリバリ使うつもりのない人」にとってどうかというと……うーん。
パッと記事を読んだときは、キーボードの配列を覚えるのが大変な人向けかな、という印象を抱いたわけで、そこからある程度高めの年齢層を狙ってるのかなあと思ったんですよ。しかしなあ。まあそのへんの人だからこそこだわりがあったり、よい品には金を惜しまないだろうという考えなのかもしれないんですが。
えーと、なんか私は「PCをバリバリ使うつもりのない人」にこだわりすぎてますね?
と思えばこそと言いましょうか、この製品、「肢体不自由向け製品」ってカテゴライズがなされてました。うわー……なんてヒドいオチだ!つか、他にも同様の製品があったり、視覚障害者向けの読み上げソフトがあったりして、どうやらこのテクノツールという会社はそういう会社らしいですな。で、そのラインナップの一環としての五十音表配列「あいうえおキーボード」であると。ははあ、なるほど納得であります。
ってそんなことPC Watchの記事にはひとことも書いてねーじゃねーですか!ひどいよインプレスさん(泣)!
いやしかしちょっと待て。落ち着いて考えてみても、肢体障害者向けとしたところでCherry社製のメカニカルキースイッチを使ったり、金属フレームで高剛性にしたりする必然性はいまいち飲み込めないですな。そもそも「肢体障害者だから五十順音表配列」となる理由も私にはよくわかりませんよ?もしかするとこれは世界の常識ですか?知らぬは私ばかりなりですか?うーむ悩ましい。でもって結局のところはやっぱりお値段も少々ということに……。
いや、もう少し安ければ健常者向けとしてもニーズがある製品だと思うんですよ。だからこそインプレスさんも記事として取り上げたんじゃないかって気がするんですけど、どうなんでしょ。やっぱりなんだか不思議な違和感を残す製品だなあコレは。うん。
つか「オーバースペックじゃね?」とひとこと書けばそれで済むのだということに今気が付きました。なんだかとてもがっかりです。