道産子だからってスキーができると思うなよ

そろそろ初雪のたよりも聞かれる季節になりました。
北海道の生まれだというと決まって「スキーうまいんでしょ」とか言われますけど、私は生まれてこのかた一度しかスキーをしたことがありません。それにしたところで大学の体育でやらなきゃ単位がもらえないからやったまでで、そうでもなければスキーをやろうと思うことすらなかったんじゃねえかと思います。



冬の気圧配置といえば西高東低です。
風は気圧の高いところから低いところに向かって吹きますから、この場合は大陸から日本に向かって吹くことになる。もともとは乾燥した空気ですが、途中日本海で水蒸気を含んでくるようで、この西からの風は日本列島を背骨のように走る山々にぶつかってそこで雪を降らせます。日本海側に大雪が多い所以です。そして山を越えた風はふたたび乾燥し「からっ風」となります。太平洋側は乾燥し、よく晴れます。
また、冬、よく晴れた日はとても寒くなります。
昼間太陽によって暖められた地表は、夜になると今度は空に向けて赤外線を放射します。赤外線を放射している物体は温度が下がる。ここで空が曇っていると、雲がふたたび放射のお返しをくれるので収支のバランスがおおよそ保たれるんですが、これが晴れていると雲がおらずにさあ大変。赤外線はどんどん空へと逃げていってしまいます。放出するばかりで見返りがありませんから地面の近くは冷える一方。やってられませんな。
つまり太平洋側では、冬になるとよく晴れ、雪は少なく、そしてよく冷えることになります。スキーをするにはあまり適していないということになる。

そんなわけで北海道生まれでありながらも太平洋側の地方の生まれであった私はスキーをしたことがないままに成長していったのです。だからスキーが全然できないといって驚くにはあたらないのであります。
つーか田舎であるとはいえ当時は20万人くらいの人口を抱える街だったんだから、そういう人はいっぱいいるはずなんですよ。加えて太平洋側には他にも人のいる街がいくつもあるのです。従って「北海道生まれ → スキーが上手」という理屈は必ずしも真ではない、ということになる。
信じられませんか。よろしい。では北海道がかの住民基本台帳ネットワークをもとに公表しているデータ(2007年9月公表分)を調べてみようではありませんか。全14支庁のうち網走、根室、釧路、十勝、日高、胆振の6支庁を太平洋側であると仮定してみるとこうなります。

人口(人) 割合(%)
全道
5,602,437
-
釧路支庁
261,633
4.7
根室支庁
83,953
1.5
十勝支庁
356,825
6.4
胆振支庁
426,260
7.6
日高支庁
79,442
1.4
網走支庁
318,812
5.7
合計
1,526,925
27.3

約3割。むむんむ。微妙な結果ですな。ここは少し強引な主張が必要なところかと思われますな。えーと札幌市(188.1万人)だけで全道の33.6%を占める中でよくやったよ!……全部合わせても札幌より人少ないのかあ、そうかあ……。あああ、あと、ベスト3(旭川市:35.7万人、函館市:29.1万人)な都市がひとつもない割には……あー、北海道太平洋側って、もしかして(検閲削除)。
やー、まあ全体の3割もいれば、北海道民必ずしもスキー上手ならずと言うには十分じゃないですかねえあははは。3割といえばほら、プロ野球の打撃成績で言えば一流の証なわけですし!そんあわけですから今後道産子に接する折は皆さんもその旨ご留意の上ご歓談あそばれるとよろしいんじゃないかと思いますよあははははははは。



これだから下調べもしないで「テキトーに書きながら調べりゃいーや」というやり方はダメなんだと思いました。