バレエDVD購入までの長い道のり

バレエってなーんかスカしてね?
という印象を持っておりました。いや、クラシック音楽とかと同じでおハイソな香りが漂ってるじゃないですか。しかも男で白タイツですよ白タイツ。アレは一体なんなんですか。白タイツなんてもはやギャグとしてしか扱われないでしょうに、あんなにスましてキメポーズ!ワケわかりません。きっとあの人らは私とはまったく異なる感性の持ち主なのに違いない。一生わかりあえない。わかりあいたいとも思わない。
というように、なんとなく敬遠してたんですね。たまにTVでバレエの公演を観てもやっぱりよくわかんねえし。たくさんの人がふにふにとスカしたポーズでキメてるなあ。うーむ。
で、そんなこと言いつつ相変わらずアイリッシュダンスを続けていたわけです。不動の上半身をよしとする、とかく地味なダンス。でもそれが朴訥って感じでいいんだよなあ。素朴なところが庶民にぴったり。バレエはもっとお上品な方々がおやりになられやがるとよいじゃないですか。
てなことを言ってたわけですけど、それでも2年以上やってると、アイリッシュダンスにもバレエと共通のテクニックが少なからずあることにだんだん気がついてきます。調べものをすると必ずバレエにつきあたる。書籍も多い。練習法はもとより、現在では解剖学に基づいた身体の使い方などの研究も盛んのようで。むむんむ。
なにしろバレエが体系化されたのは17世紀なかばってんですから、300年以上もの歴史があることになります。Wikipediaのバレエの項を見たらルイ14世とか書いてあるよ!朕は国家とか言っちゃう太陽王なブルボン王朝!日本では関ヶ原から江戸幕府開闢。さらには五代目綱吉までってな時代ですからえれー昔の話ですな。そんだけ長いこと続いてりゃあノウハウの蓄積はハンパないわけでして、メソッドからなにから学ぶところが非常に多い。侮りがたい。けどそこはやっぱり白タイツだし、とか呟きつつ、日々の練習にバレエの要素を取り入れてみたりします。
そうやって自ら外堀を埋めていけば世話はない。同じくアイリッシュダンスをやっている方の中にもバレエ経験者がいらしまして、一緒にレッスンを受けたりするうちにあの独特の用語にも耳が慣れていくんですな。フランス語ですよ。英語なら中高とやっただけに馴染みがあるけど、もうおもしろいくらいに全然わかんねーのフランス語。Balletって書いてあったら「バレット」って読みたくなるだろうがよ!弾丸?ってそれは英語でbulletですな。いやだからなんで「ballet」で「バレエ」なんだよ!「t」はどこいったんだよ!という調子。
どこが慣れてんだ、という感じですが、そんな阿呆な話を重ねるうちに、すごいダンサーの名前とかも出てきます。ふーん。でもいくらスゴいって言っても、実際見てみないとわかんないよなあ。と、現代に生きる我々にはYouTubeがあるじゃないか。じゃあちょっとバレエの動画でも探してみるか……

で、見つけたのが↑の動画……ってすげえぇぇぇ。何回まわってどんだけ飛んで、どこまで足上げれば気が済みますかアンタ達!などと驚嘆しつつもさらにYouTubeの森を彷徨って出てきたのがこちら。

ここまで来ると呆れてものも言えません。本当に同じ人類なのか?しかもこの動画で踊っているDaniil Simkinとかいうロシア野郎は1987年生まれ。20だか21だかまでは知りませんが、えいもうどっちでもいいや。これだけの身体能力で、しかも見た目もよろしいとくりゃ言うことはない。わかったよ。お前はすごいよダニール。ちょっとデコが広いのが気になるけどなダニール。
てなわけで内堀は一瞬で埋まりました。バレエはすごい。なーんスカしてね?というところから見ると隔世の感すらある変わりよう。その節操のなさには一言ありましょうが、それはともかくもうちょっとちゃんと観てみたい!__てなわけでバレエのDVDをAmazonでポチっとしちまったのです。しかも2枚も。
というか本当はそのDVDの感想を書こうと思ってたんですけれども。ああそれがどこがどうしてかこんなことに。つーかYouTubeで満足するでもなく人から借りるでもなく、自ら大枚はたいてDVDを買うようになったらもうダメかなあ。そのうち公演も観に行っちゃったりするようになるのかしらん。
いや。いやいや。いやいやいや。そこまで転びながらもしかし、最後の一線を譲ることだけはありえないと、私はここに断言できるのです。確かにロクすっぽ観もせずに遠ざけていたのは悪かった。食わず嫌いでした。がしかし譲歩をするにも限度ってものがある。そこから先の領域を彼らが蹂躙するということは、まずもってありえないのであります。
そう、彼らにあの白タイツがある限り。