大容量ZIP
リムーバブルメディアはCDからDVDへという流れになってますが、だからといってMOやZIPのようなフロッピーディスクタイプのメディアもそう簡単には絶滅しないようです。書込みソフトを介す必要がないので扱いが簡単だったりサイズもコンパクトだったりと利点もあるし。バックアップを取るときも、普段はMO/ZIP、節目でCD-Rとすると整理もしやすくなります。双方が長所を生かして互いに補完しあうという関係でしょうか。
で、このフロッピータイプのメディア、日本ではMOが普及してますけど、アメリカではZIPが優勢らしいです。確かに形状といいサイズといい、バッティングを起こすのも無理はないという感じ。
大学時代、研究室ではZIPを使ってました。当時はまだMOが128MBでZIPが100M。CD-RにはBurnProofのような機能がついていなかったので、書き込むときにはマウスにもキーボードにも触れず、アプリケーションを使うなんてとんでもない!当然スクリーンセーバーはオフにした上で息を殺してプログレスバーをにらみつける、そんな時代でした。リムーバブルメディアの覇権を握るのはどれだ!なんて話題がけっこう盛り上がっていたものです。
ZIPをなんに使っていたのかといえば、走査型トンネル顕微鏡で撮った画像のやりとりをしてました。顕微鏡の端末にもZIPが接続されていたのです。そして研究室ではMacintoshとZIP。なんつーかアメリカンな構成ではあります。ZIPの記録方式はHDDとほとんど同じらしく、やたら高速に読み書きできたのが印象的でした。そのMacintoshは共用だったので、個人用のデータはすべてZIPに。ネットにもハマり、ICQをZIPにインストールというありさまでした。100MBという容量は当時としてもちょっと中途半端でしたが、それでも使い切ることは一度もなかったとかいう。
その後ZIPはMOがどんどん大容量化していくのに追いつけず、値段の面ではCD-Rにはるか先を行かれてしまいました。さらにドライブは安いがメディアが高い(1枚2,000円くらい)という悲劇的な価格バランスもあいまって、ZIPは日本におけるリムーバブルメディア競争では勝てなかったわけです。でも実験機器の割り当てが夜中の12時からだったり、卒論でひーひー言ってるのにtiffファイルの保存形式がちょっと違うだけでWordがハング!ぎゃー、な思い出があるせいで、個人的には思い入れのあるメディアであるのは確か。
記事によるとZIP750の特徴は
- CD-RWに匹敵する記憶容量
- ライティングソフトを必要とせず、簡単に利用できる
- ハードケースを使用し、耐衝撃性に優れる
- 相変化もなく長期保存性に優れる
- メディアごとに固有のシリアルナンバーを割り振っている
- ソフトウェアでのパスワードロックも可能
であるととされています。ベンチマークを行ってMOよりも高速であることをアピールしていたりもする。なかなかチカラが入ってます。
でも結局メディアが高いままなのがなあ。MOであればギガクラスでも1枚5〜600円程度なんですが、ZIP750は2,000円くらい。CD-Rなら10枚1,000円とかで売ってるのに!逆転は絶対にムリだと思いました。うーむ。確かに自分で買うならZIPは選択しないだろうなあ。もっともアメリカで主流であるうちは、日本国内でもいくばくかの需要はあるでしょう。なんか最初から最後まで地味なメディアな感じがする。
ZIP750にも、もうちょっとハゲしい特徴があればいいんですけどねえ。USB2.0のクセにSCSIより読書きが早いとか、ドライブがやたらアメリカン(デカくて重い)だとか、入れたデータはもれなく圧縮してくれるとか。アメリカでは強いが日本ではサッパリだなんて、まるでXboxみたい……というのとはちょっと違うか。でもなまじ思い入れがあるだけに、もうちょっとがんばってほしいという気がするのであります。
ちなみに大学生次代に使っていたZIPドライブには、Macintoshらしく自動排出機能がついてました。でも内部のスプリングが強すぎたのか、自動排出するとディスクが排出口でとどまらず、ものすごい勢いで吹っ飛んでいってしまったものです。擬音を使えば「シュこーんッ」って感じで。放物線を描きながら空中をすべるように走るZIPディスク。そして古臭いリノリウムの床にがしゃん。なんかマンガみたいな光景です。確かに自動排出には違いありませんが、もうちょっとソフトランディングにしてくれないと恐ろしくて使えたもんじゃないとか思ってました。