読書週間

研修で東京に来てます。泊まってるのは大森で、LANを使ったネット接続が可能。この回線がなかなか早くてびっくりです。自宅の1.5M ADSL(実行1.2Mbps)よりも早い!よい時代に生きているものです。しかしLANケーブルを持ってくるのを忘れたのは大失策でした(苦笑)。ちょうど大学時代の友人と食事をする約束をしていたので、その道すがら秋葉原に立ち寄ってケーブルを購入。うーむ、LANケーブルをそんなにたくさん持っててもどうしようもない気がするんですが。


ところで、研修ってのは9時半〜16時半のスケジュールなので時間がものすごくあまります。で、その時間でなにをするか。別にどこに行きたいってのもないしなあ。第一金もない。東京というのはお金のない人にはものすっごく冷たいところだと風の噂に聞いたのですが本当ですか。それを確かめる勇気もないので怖くて出歩く気にさえなれません。

そんなわけでしかたなくホテルに引きこもって本ばっかり読んでいようと思いました。帰りは金曜なのでちょうど1週間ある。せっかくだから読書週間ときめこんでやろうではないか__というんで10冊ほど持参ですよ。それだけ詰め込むとスポーツバッグがやたらに重い!肩とバッグのベルト、どちらが先に千切れるかの勝負みたいなもんです。なんであなたは東京に着いてから本を買いませんか?

ま、それはともかくいまさら電撃文庫なんか読んでたりするわけですよ。これなら1日2〜3冊は軽くイケちまうんですが、なんつーか軽いばかりであんまり続けざまに読むと飽きますな。ときおり普通の本も読んでおくべきです。で、そんな中の一冊に小澤征爾広中平祐の対談集『やわらかな心をもつ』(新潮文庫)などがあるんですが、これがすげーおもしれー!

小澤征爾氏がウィーン国立歌劇場音楽監督で、ともあれ世界的に有名な指揮者だってのはご存知の方も多いと思います。一方の広中平祐氏は数学者。数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞を受賞しているこれまた傑物ですね。両者とも今ほど海外留学が盛んでなかった頃からヨーロッパ、アメリカなどで活躍してこられた方です。音楽家と数学者というとちょっと意外な取り合わせですが、お二人は留学先で知り合った親友でもあるそうな。まあ数学にも芸術的な面ってのはありますからね。

ともあれ、この本はいわば二人の天才による対談集でもあるわけです。でもってその内容が実に濃い。もともとは1977年に行われた対談が本になったものなんですが、まったく古さを感じないほどにエキサイティングなのがすごい。自分の選んだ音楽/数学という世界で本当に大事なことはなんなのか、翻って教育とはどうあるべきか、ヨーロッパ諸国とアメリカ、日本の相違点ってどこだろう……重く語ろうと思えばいくらでも重くなっていく話なんですが、語り口が平易かつ軽妙なのでまるで肩のコらないつくりになってます。それでいて話のキモをきちっと捉えているあたり、さすがだなぁと思わせられます。

小澤征爾氏については、以前『ボクの音楽武者修行』(新潮文庫)を読んだことがあって、これもかなり面白かった記憶がある。それを思い出して今回この本ともう一冊、武満徹氏との対談集である『音楽』(新潮文庫)を買ったんですが、こちらの方は出発前に読んでしまいました(笑)。これもおもしろかったなぁ。今Amazonで調べてみると、2001年に大江健三郎氏との対談集も出てるんですね。これも読んでみたい。


それにしてもこの本、絶対タイトルで損してると思うんですが。一瞬アヤしい自己啓発の本と間違えそうになってしまいましたよ。

あともう一点。なんで私は東京に来てまで引きこもりなんかしてるんでしょう。