竜の夜明け

最近仕事の話ばっかりで書いていてつまらないなあ、と思った。今日も突然の仕事が舞い込み、しかもそういう話に限ってスケジュールがタイトだったりしたのだが、やっぱり仕事の話なので面白くないのには変わらないのである。
というわけで最近は「パーンの竜騎士」シリーズばっかり読んでます。ここ2〜3日は外伝一作目である「竜の夜明け()」をのんびりと。とりあえず読み終えたので、久しぶりに読書感想文でも書いてみよう。あんまり感想文ってノリではないが。
SFなんだかファンタジーなんだかよくわからないのが「パーンの竜騎士」シリーズの特徴なのだが、本作は惑星パーンへの移住から話が始まるのでSF的な度合いがかなり強い。ちょっとあらすじをざっと追いかけてみると__
豊かで広大な大地で、進みすぎたテクノロジーとは無縁の生活を夢見たはずの惑星パーンへの移住は、しかし彗星のような軌道を描く赤の星から降り注ぐ糸胞によって脅かされる。放棄したテクノロジーにすがることはあたわず、助けを求めるには自らの手で解決しなければならないという決意とプライドが邪魔をする。そこから生まれる軋轢もある。人々が託した最後の望みは、惑星パーンに生息していた「火蜥蜴」に遺伝子操作を加えて生み出された17匹の竜と、「感合」によって竜と深く結びついた17人の竜騎士に託された__。
糸胞によって疲弊しきったところに、じりじりと成長を待ち続けた竜騎士がとうとう編隊を組んで炎をひらめかせる最終盤は、ためるだけためてカタルシスに持ち込むというストーリーテリングの王道とさえいえよう。ラストシーンは何度読んでも心が震える。
もちろん本編(1〜3あたり)を読んでからのほうがより深く味わえるとは思うが、これだけ取り出しても読める作品だと思う。SFは技術オタっぽい文章がどうも、という人は少なくないと思うが、本作はその中でもずいぶんマシな部類だといえるだろう。また、一部でがっちりマーケットを確保しているライトノベルはいい加減子供っぽすぎて食い足りないという向きにもおススめしたい。大人のためのエンターテインメントな小説ってのは、なにも恋愛や殺人、赤裸々な暴露に限ったものではないのである。