ピカソ展 〜ヒネた見方で行く日を決める

午後から休みを取って、北海道立近代美術館ピカソ展を見に行く。わざわざ休みを取るなんて、とよほど熱心そうに思われそうだがさにあらず。できるだけ人の少なさそうなシチュエーションを選んでいたらこうなっただけのことである。
私も含めて普段芸術なんかへへん、なんて言っている人間の耳目を引くような展示は、北海道ではそれほど多くない。そこで数少ない機会をとらまえては「やーオレ、ゲージュツなんて全然わかんねっすよー」とかほざきつつ、その裏で「それでも芸術に興味のある自分」をアピールしようとするのである。狡猾である。実に耳が痛い。
そんなにわか文化人に抽象画時代のピカソはうってつけであろう。なぜなら周りに「わかっている」人は皆無であり、さらに言うなら「わかっている」フリをする人すら皆無だからである。「ぜーんぜんわかりませんでしたよー」で笑いのひとつは軽く取れる。これはオイシイ。逃すテはない。ということで、相当な人出になるであろうことは想像に難くない。
その上でできるだけ人の少ないシチュエーションを求めるとすると、当然土日に行くのは論外である。そしてあと2、3日もすれば学校が夏期休暇に入ってしまう。そうなるともう平日にさえ安住の地はないということになろう。ヒマになった学生が大挙をなしてやってくるからだ。そして「コレならオレにも描けるってー」とか言いながら静寂をぶち破るのである。加えて日ごろ絵画教室に通っているらしい文化的なオバさまたちが、「この間初めてキャンバスに描いたのよー」とか関係あるようでいてまったく関係ない会話に終始したりもする。黒山の人だかりで肝心の絵はまったく見えぬ。ベビーカーに乗せられた赤ん坊が泣き出す。来年から幼稚園に通いだすような子供が奇声と共に人ごみを縫って走る。美術館に来たんだか市民プールに来たんだかよくわからなくなる。
もうお話になりません。
というわけで考えていくと、平日で、しかも学校が夏休みに入る前に見に行くのがよい、ということになる。美術館に行くのにも事前に考えねばならんことは色々あるようだ。休暇願にハンコを押しつつ、そんなことを考えた。
前置きのつもりが随分長くなったので、とりあえずここで切る。