信用取引リスクは誰が負担するべきなのか

ライブドア騒動を見ていて個人投資家における信用取引の話がちょっと気になったので、無知であることも顧みず考えてみました。無謀なチャレンジもいいところです。結論は信用取引リスクってのは誰か一人が丸かぶりするんじゃなくて、証券会社、個人投資家の双方が応分の割合で負担すればいいんじゃないか、という当たり前の話なんですが……。



ライブドア騒動はすごいことになっているようです。これがバブル崩壊への引き金だとか、あるいはこれがバブル崩壊そのものだとか、色々と議論がかまびすしい。東証がその機能を停止するなど、市場そのものが混乱状態に陥ってもいます。それを嫌気して資本の引き上げが怒ることによって、日本の景気が落ち込むのでは……と危惧されてもいるようです。
まあ景気動向だとかの話はまるでド素人なので、ここではもっと細かい話をしようと思います。
対象がライブドアであるせいか、IT系のニュースサイトでも関連記事をけっこう見かけることができます。その中でもCnet Japanはかなり積極的で、関連記事がいくつか並んでいる。そこで気になったのが「株式市場を襲ったライブドアショック--新興企業が軒並み安」の中にある、マネックス証券が保証金代用有価証券の掛目を引き下げた、というくだり。抜粋してみると

となってます。このへんの相場観は株をやってない私にはあずかり知らない領域ですが、0%というのはともかくとして、今まで70〜80%の掛目が設定されていたことにまず驚きました。マネックスっていわゆるオンライン証券ですから、かなりの個人投資家を抱えているんじゃないかと想像します。で、個人投資家に対してこの掛目は高すぎなんじゃないかと思うんですよ。これってたとえば時価100万円分のライブドアを持っていたら70〜80万円分の信用取引ができますよ、ってことですよね?うーん、それは信用余力の過大評価なんじゃないかって気がしちゃうんですけどねえ。そうでもないのかなあ。
いや、個人投資家のほとんどってそれを本業としてるわけじゃないですよね。そういう人たちにとっては原資以上の出費はたとえ10万円であっても激痛なんじゃないでしょうか。つーか原資の目減りだけでもかなりのショックだと思うんですが、それに追加して70〜80万ねえ。まあ金額が100万円レベルならなんとかなるんでしょうけどね。クルマの買い換えをちょっと我慢するくらいですよってことならわかりやすい。ただ、信用取引を雪だるま式に拡大していくとなんかすごいことになりそうなんですが。
まあそのへん引っくるめて自己責任って言っちゃあそれまでなんですけどね。そもそも個人投資家信用取引に手を出すのがどうか、って議論も当然あって、実際その通りなのかもしれません。ただ、あれば使っちゃうのが人間ですからねえ。信用余力だけ与えておいてその管理はすべて自制心に委ねた挙げ句、なにかあったら全部自己責任ですってのはちょっと極端かなあという気がしないでもないです。
つーか今回掛目が0%に引き下げられたわけですけど、まさかこれって「今日から掛目は0%になりましたので、今まで信用取引されていた分については明日回収しに行きます!耳を揃えて現金払いでよろしく!」って意味なんですか?もしそうだとしたらすごい掌の返しっぷりですよね。信用余力ってのは設定する側(今回は証券会社)も当然そのリスクを負うべき話なはずなんですが。
まあ仮定の話に対して勝手に盛り上がっても仕方がないんですけど、このへんの話ってまだあんまり出てきていないのでちょっと気になってしまいました。これはそもそも金融機関がバブルの後始末をしているときに出てきた話だと思うんですが、お金の貸し借りについては貸した方、借りた方双方に責任があるはずなんですよね。ただ、以前は「借りたモノは返すのが当たり前」ってのがあまりにも大手を振ってまかり通りすぎていた。そのことに対する反省があったはずなんですよ。もちろん原則的にはそうなんだけど、じゃあ貸した方にはまったく責任がないの?違うでしょ?ってことです。
金融機関のようにお金を貸すことを商売にしているのであれば、融資の際には当然それなりのリスク評価を行っているはずです。であればそのリスク評価に対しては責任を負ってしかるべき、という話です。つまりは危険性の予想に基づいてお金貸してるんでしょ。じゃあその予想が外れたらそれなりの責任は負うんだよね。そういう商売なんだよね。という理屈ですね。
これは今回の個人投資家と証券会社の関係においても同じことが言えるはずなんですよ。
噛み砕いてしまうと、信用貸ししたからには、当然それなりの信用リスクを背負う覚悟があるんでしょ?ってことです。だってそういう商売なんだもの。言い方を変えれば信用取引を行っていた場合、そのリスクは個人投資家、あるいは証券会社の双方が応分の割合で負担すべきってことになります。そういう話にはなってるんでしょうかね?このへんすごく大事な話だと思うんですけれども。特に個人投資家にとっては切実でしょう。
そんなわけで、今回のライブドアショックでもしそのリスクが顕在化してしまった個人投資家がいるのであれば、まず落ち着いてやるべきことがあるはずなんですよ。まあいきなり借金を背負ったかたちになってしまって茫然自失、ってのはわからなくもないんですが、だからと言って消費者金融に駆け込むってのはちょっと早い。その前にまず、信用取引によって生じた損失の負担割合について証券会社と交渉してみるべきではないか。
少なくとも100%負う必要はないと思うんですが……これってどうなんでしょうね?勢いに任せて書き散らしたのはいいんですが、現行の慣習がわからないんで全然自信がありません。ざっと個人のBlogをナナメ読みしてみたんですけど、自己責任なんだから当然借金背負って下さい、というコメントが散見されたくらい。証券会社が信用リスクを負うべし、みたいな話は見つけられませんでした。うーん。
まあそもそもそういう話になってるから、わざわざ言うまでもないことなんだってことならいいんですけどね。であればこの文章には全然意味がなくて、それはそれで結構なことなんですけど、誰か教えて下さい。私の話が単なる杞憂にすぎないのであれば、それはすごくよいことだと思いますんで。



もしそういう慣習じゃなかったら?ってのは今考えても仕方ないですけど、一応ちょっとだけ。その時には個人の投資家が個別に交渉しても厳しいことになるような気がします。影響の及ぶ規模にもよりますが、その時には行政庁が動く必要が出てくるかもしれません。そして行政庁を動かすためには世論ってものがあった方が効果的でしょうから、それこそマスコミの腕の見せ所になるんじゃないでしょうか。その時にはもちろん、ゴシップ的な取り上げ方は影を潜める……んでしょうねえ。多分。
つーか最初っからそういう観点で報道してるところもあるんでしょ?私は普段TVとか見ない生活してるんでよく知りませんけど。