第25回 市民バンドフェスティバル

いつもと趣向が違って、今回は吹奏楽。いわゆるブラスバンドである。札幌市内にあるバンドが集って年に一回やっているそうな。25回というからもう四半世紀も続いていることになる。大したもんだ。いや、それにしても市内に7つもあるとは、さすがに札幌はデカい街だ__などと思ってみたりもする。札幌に住むようになってからもう6年目なのだが、こういうところはいまだに田舎野郎なところが抜けきらない。
考えてみれば生ブラスなんて学生の部活動のを聞いたのが最後じゃなかろうか。小中高と聞いてきたのは音響もなにもない体育館で、それが当たり前だったのに今日はご立派なコンサートホール。なにやら溢れんばかりの違和感を覚える。しかも立派な司会者までついて、出てくる演奏者たちはみな揃いも揃ってBlack & Whiteの正装とめかしこんでおられる。違う、これは俺の知ってるブラスじゃないぞ。思わず居住まいを正してしまうのだが、これはせいぜい最初の10分くらいしか持たなかった。慣れないことはしても無駄である。
今回来たのはたまたま同じ職場に出演するバンドの人がいて、チケットをもらったからだ。見ているとその人もトロンボーンを抱え、やはりめかしこんでステージの上を歩いている。そりゃまあ、一人だけ仕事用のスーツを着ていたらおかしなもんだろう。
それにしても、こういう非日常なところで普段を知っている人を見るというのも妙なものだ。こういうときはさてどういう反応をしたものなのだろうと悩んでしまう。まさか2階席の女子高生ドモのように手を振るわけにもいくまい。かといって忍び笑いも失礼なものである。そうこうしているうちに、適当な反応をひとつも編み出せぬままに演奏が始まってしまった。実に気の利かないことおびただしい。
ただ、ステージに知った人がいるとやはり見方が変わる。まあせいぜいが「あー、この人らーも普段は学校行ったり仕事したりしてるんだろうなあ。それが今日はおめかししてステージの上かー。どんな気分なんだろうなあ」という程度であるから、そんなに大層なものでもないけれども。でもこういうハレの舞台があるってのはいいですな。私にはそんなものはないので想像してみるより他にはないが、生活にハリだか潤いだか、そういう化粧品のキャッチコピーみたいなものが生まれるような気がする。ええ、正直羨ましゅうございます。
しかし2時間半もブラスを聞いてるとさすがに疲れるね。