北海道人は何故雪の日に傘をささないのか

東京に雪が降りました。この冬2度目。とはいえ降ったそばから溶けちゃうんですね。歩きにくいことこの上ないですが、こっちの人が雪のときに傘をさす理由がなんとなくわかった気もしました。
寒い寒いといいつつも東京で見る雪はやはり湿っていて、体につくと積もることなくすぐ溶けてしまいます。ゆえに濡れる。ちょっと歩いただけでもかなりのしっとりさんになることができます。しっとりさんはイヤだなあ。ましてやバージョンアップしたじっとりさんなんかなおさらイヤだ。風邪ひいちゃうよ__というわけで濡れるのはイヤなので傘をさしましょう、ということになります。実にまったくごもっともなことです。非の打ち所がありません。
まあ人から聞いていた話ではあったんですが、実際に見てみるとなるほどなあという感じです。いや、北海道にいた頃は雪の日に傘をさしたことなんかなかったもので。というわけで以下延々と「北海道人は何故雪の日に傘をささないのか」について書きます。
北海道は皆さんご想像の通り、大変寒いところです。地方によっては氷点下20度とかザラです。釘を打ったバナナは粉々に砕け散ります。新鮮なバラもこのとおりです(意味不明)。そのような環境のもとでは雪がすぐ溶けたりはしないので、放っておくとどんどこ体に積もっていきます。しかし寒いのでたいていはサラサラの雪で、ゆえに払ってやれば難なく落とすことができる。まあ多少の湿り気は仕方がないですが、それにしたところでたいしたことはないのです。霧吹きで一拭きって程度、とでも言うんでしょうか。
そうすると傘をさすことによって得られる「雪から身を守る」メリットってのがあまりないんですね。だって体に積もったところで払っちゃえばいいんだもの。髪が濡れるのがイヤなら帽子をかぶればよいわけです。積もった雪は建物の中に入る前にえいやえいやと落としてしまいましょう。
そんなわけで北海道の家には玄関フードなるものがついていたりします(Googleイメージ検索結果)。あれは家に入る前のえいやえいやのために存在するモノなのです。家の中というわけでもなく、かといって完全に外でもない。ネットワークの世界におけるDMZ(非武装地帯)みたいなもんですいややっぱり違います。ともあれ玄関フード内にいれば雪からは守られているので、心おきなくえいやえいやすることが可能です。とはいっても玄関フードの中が水浸しになるのもそれはそれで困ったモノなので、腕だけ外に出してえいやえいやしましょう。これが玄関フードのマナーです。ちなみに夏場は濡れた傘の水滴を落とすためにも玄関フードを用いることが可能です。便利ですね。全国の皆さんも玄関フードを設置することによって、心おきなくえいやえいやできるようにするべきだと思います。
玄関フードの話なんかどうでもいいですか。
ともあれ、北海道では雪の日に傘をさすメリットが今ひとつです。すると傘によって片手がふさがるというデメリットの存在感が俄然増してくるんですね。仮にもう一方の手で鞄を持っていたりすると両手がふさがってしまうではないですか。これはよろしくありません。冬の北海道は路面が圧雪やアイスバーンでとても歩きにくく滑りやすいのでたいそう危険なのです。そんな中を両手がふさがった状態で歩くなんて。もし転んだら危ないですよ自殺行為じゃないですか無謀ですよやめておきなさい。それだったら少なくとも片手はフリーにしておいて転ばないようにバランスの維持に努めるなり、いざ転倒してしまった際にしっかり受け身を取れるようにしておくべきです。というかそうしなさい。目先の利益にとらわれて来たるべき災厄に対する備えを怠るがごとき愚を犯してはならんのです。大体傘にも雪が積もるんだから重くて仕方がないじゃないですか。ビニール傘だと骨が折れますよ。冗談じゃありません。
というようにメリット・デメリットの双方を勘案してみました。メリットは減ぜられデメリットの存在感が増している。どうも傘をさすデメリットの方が勝るのではあるまいかという印象ですね。以上を鑑みると北海道では雪の日に傘をささない。という結論にたどり着くことが可能なのではないかと思うのです。いかがでしょうか。いけませんでしょうか。
まあこのへんはある意味北海道ネタの定番なんですけどね。